男に裏切られた私、親友で幼馴染の財閥令嬢の家で過去の男の話をする
あれは私が大学卒業間近、翌日に東堂本家の会社である「東堂コンツェルン」の第三選考を受けるのが決まり、その為私は同じく選考を受ける元彼の
「お邪魔しまぁ〜す!って、あれ?女性物の靴……何で……まさか……!?」
預かっていた合鍵で扉を開けると、玄関には見覚えのない女性物の靴があり、嫌な予感がした私がリビングへと向かうと……
「ハハハハッ!!やっぱり!お前の胸が1番揉み応えがあって大好きだぜぇ!!」
「いやん♡もう♡裏切君のエッチ♡」
「なっ!?ちょっ!?これは一体……!!?」
私が思わず驚愕の声を上げると、それに気づいた裏切君が私の方を向く。が、裏切君はこの状況で悪びれもせずにニヤリと笑う。
「よう!来たか!まぁ、見ての通りこういう事だからよ!お前は用済みだ!」
「なっ!?それは!?どういう……!?」
「お前と付き合ったのは最初からコレが目的だったんだよ!」
裏切君はニヤニヤと笑ったまま、テーブルの上に置いてあった私のパソコンを指差す。
それは、今日裏切君の家で意見交換会をする話になり、用事で私が遅れるからと伝えた時に、それなら来る時に荷物になるから預かると言われ、裏切君に預けた私のパソコンだ。まさかと思い私はパソコンを調べると……
「ッ!?ない!?明日プレゼンする為の資料どころか!?パソコンに残していた私のデータ全部!!?」
「クククク!残念残念!けど、パソコンなんて精密機器だから故障するなんてよくある事だよなぁ!!」
悪びれもせずにそう言う裏切君を私はキッと睨む。
「貴方!こんな事をしてタダで済むと思ってるの!?」
「おいおい!勝手に俺がやったって決めんなよ!俺がやったって証拠はどこにもないだろ?」
「状況的に貴方しかいないじゃない!!」
「さっきも言ったが、パソコンなんて精密機器なんだぜ?急に壊れる可能性なんていくらでもあるんだ。俺に預ける前から壊れた可能性だってあるだろ?そうだろ?それに、お前は馬鹿じゃないんだ。パソコンにパスワードはかけていたはずだ。そのパスワードはどうやって知ったって言うんだ?」
「ッ!?そ……それは……!?」
確かに、私はパソコンにパスワードをかけていた。そのパスワードは裏切君に教えていない。パスワードを知らないのならパソコンを立ち上げる事が出来ないのだから、私のパソコンを初期化するなんて不可能だ。
「まぁ、そういう事だ。残念だが諦めるんだな!」
「ッ!?もういいッ!!?」
私は彼氏に裏切られたショックや、大切な就職活動の為のプレゼン資料を失ったショックが混ざり合い、テーブルに合鍵を叩きつけた後、データを失ったパソコンを持って走って逃げるように去って行った。裏切君達の嘲笑う声を背に受けて……
「と、言う事があって……ショックでそのまま部屋に引き篭もった私は、翌日の「東堂コンツェルン」の第三次選考も受けず、大学は卒業単位が足りてたから卒業出来たけど、「東堂コンツェルン」には就職出来ずに今に至る訳なんだけど……」
私の話を聞いて全員シンと静まりかえる。すると、おもむろに百合花のお父さんが立ち上がる。何故か片手にはいつの間にか日本刀を握っている。
「茜ちゃん。そのクズ野郎今すぐ私が叩っ斬ってやるから居場所を教えてくれるかい?」
「ちょっ!?徹おじさん!?」
「おい!徹ちゃん!俺も参加するぜ!娘を傷つけて黙っていられるか!!」
「ちょっ!?お父さんまで!!?」
何故かお父さんもいつの間にか片手に釘バットを持って立ち上がっていた。
「2人共。どうか落ち着いてください」
「百合花!?しかしだな!?茜君をこんな目に合わせて黙ってられる訳!?」
「そいつは私が生きてる方が辛いと思う目に合わせてあげるから」
ニッコリと笑う百合花。しかし、その目は全然笑っていない。しかも、バックには黒い炎が舞い上がっていて思わず「ヒイィ!?」と悲鳴を上げる私。
「しかし……話を聞く限りその男はうちの会社を受けたのか。しかも、茜君のパソコンのデータを奪って選考を受けた可能性がある以上、その男を早速調査しないと……」
薫さんが顎に手をやってそう呟く。徹さんはすぐに部下呼んで調べさせようとするが
「多分その男ならうちには入社してないわよ」
咲良さんが薫さんに向かってそう言った後、今度は私の方を向くと
「その裏切って、下の名前は
「えっ、あっ、はい。確かにそんな名前だったかと……」
「だったら、その男なら第三次選考で落ちてるからうちの社員ではないはずよ」
「東堂コンツェルン」の人事部部長でもある咲良さんがキッパリとそう告げた。
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