男に裏切られた私、親友で幼馴染の財閥令嬢の家に結婚報告しました1

  この日本の経済は四つの財閥が支えている。


  日本の農家・農業などの食料品を支える北条ほうじょう家。


  バス・鉄道・タクシーなどの公共交通機関などを支える南部なんぶ家。


  西エリア地域の経済を支える西園寺さいおんじ家。


  そして、この東エリア地域の経済を支えている東堂家。そう。百合花こそこの東堂家の当主の娘の1人である。



  現在、私はその東堂の本家に来ていた。物凄く広い和室の応接間で百合子の家族と向かい合う形で……


(うぅ……なんだか空気が重い気がする……)


部屋に入ってから私の家族も百合花の家族も喋らず沈黙している。いや、娘と結婚したいと言ってるんだからこの沈黙仕方ないかもしれない。


「……茜君」


「はっ!?はいッ!!?」


  しばし沈黙が続いたが、東堂家の現当主であり百合花の父親である東堂 とおるがおもむろに口を開いた。


「悪いが何処の馬の骨とも知らない大事な娘を渡す訳にはいかん」


(ひいぃ!?いかにもなセリフで断られたぁ!?一応嫁に貰われるの私という話だった気がするけど!?)


「……おい。東堂……いや……」


百合花のお父さんの言葉を聞き、私の父である浅間 宗介そうすけが立ち上がり、百合花のお父さんに近づいていく。


「ちょっ……!?父さん……!?」


私の父親は一応建設会社を経営している社長だが、当然ながら東堂家の会社に比べると月とスッポンどころか、月とアリぐらいの差がある。もし、東堂家の人間を怒らせるような事をすれば父さんの会社なんて簡単に潰せてしまう。だから、私は止めようとしたのだけど……


「徹ぅ〜!!ズルいぞぉ〜!?俺だって娘が出来たら言いたかったセリフなんだぞぉ〜!?って言うか、一応そのセリフは俺が言う立場のはずだろぉ〜!?」


「いやぁ〜!ハッハハハハ〜!!スマンスマン!俺も娘が出来たら言ってみたかったセリフだったからな!ついつい!」


私の父と百合花のお父さんがまるで男子高校生のじゃれ合いのような事をしていて、思わずポカンとなる私。


「はぁ〜……全く……貴方はいつまで経っても子供なんだから……第一、茜ちゃんは昔からの付き合いなんだから何処の馬の骨でもないでしょ……」


「まぁ、うちの旦那も似たようなもんだけどね」


百合花の母親東堂 花恵はなえと、私の母親である浅間 京子きょうこが呆れた溜息をつきながらそう言った。


(あぁ……そうだった……実家から離れて一人暮らししていたから忘れてたけど、うちの両親と百合花の両親は学生時代からの親友だったんだ……)


  そう。百合花の両親と私の両親も学生時代からの親友同士で、それもあって百合花と親友で幼馴染な関係になれたのである。


  そして、これをきっかけに両家による私と百合花の結婚報告会は和やかに始まった。


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