第14話女どすこい一人旅

「お相撲さんって、いつ「どすこい」って言うんだろう?」

 八幡浜港から見えるミカンの段々畑は壮観で、鮪と鮪がベンチに腰掛けてかれこれ1時間が経とうとしていた。

「出発したくなってきた?」

「いや、ふと思っただけ。鮪が数日前からの野相撲で資金を集めている間、私も相撲に関する知識を集めていた」

「そういえば、たまに居なくなってたね」

「最寄りの図書館に行ってた」

「相撲ってそんな知識いるかな?」

「かなり奥深い」

「そうなんだ」

「そこで疑問なんだけど、「どすこい」はいつ言う言葉だと思う?」

「図書館でわからなかったの?」

「わからなかった。鮪も野相撲の際、そんな言葉は発していなかったはず」

「あー、ほんとだ。言わないわ。でも相撲といえば「どすこい」だよね。いつ言うかわからんけど」

「不思議だなって」

「ほんと。ていうか、どういう意味の言葉なのかわからんから、いつ使う言葉なのかわからんのかも」

「…」

「行こっか」

「どすこい」

「今使う言葉なんだ?「いくぞ!」的な?」

 鮪は口元をツンッと持ち上げてうなずいた。

「どすこい」

「どすこい!」

「どすこいどすこい!」

「どすこい!」

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