第11話宇和島ジャコ天テレビ 夕方五時放送「うわーっと!宇和島」

 竹馬が岩刺さり立ち往生して2日目。鮪と鮪は移動手段の他に、ある問題に直面していた。路銀がそろそろ尽きようとしていたのだ。


 見知らぬ土地で金を稼ぐ方法を二人で話し合った結果、野相撲で稼ぐのが最適という結論に血迷った鮪と鮪。

 そうと決まれば人の集まる場所を探さねばと、海岸沿いを進み始めた。


 快音が鳴り響いた。

 場所は海水浴場。まだ海水浴シーズンでもないのに何やら人が大勢集まっていたため、鮪と鮪は砂浜に円を描いて早速野相撲を開始したのだった。

 海からの照り返しで汗だくの鮪と鮪がぶつかる度に、快音が鳴り響いた。


 鮪と鮪の取り組みを見物していた人からのお捻りや、取り組みのオファーを受けた際の礼金が5,842円に達した頃、鮪と鮪に見るからに撮影隊という装備の一団が接触してきた。


 リポーターらしき人が言うには、今日はセイ狩りの解禁日なんだそうな。集まっていた人々はセイ狩り解禁の正午になるのを待っているセイ狩り客達で、自分達はその模様を撮影に来た宇和島ジャコ天テレビの取材班であると教えてくれた。

 取材開始の正午になるのを待っていたら、何やら人だかりが出来始めたので、何事かと観に来たんだそうな。

 鮪と鮪に説明してくれていたリポーターは、そのままインタビューがしたいのだという。鮪と鮪はその依頼を快諾。了解を得たカメラも回り始めた。

「お姉さん達は双子ですか?」

「いえ、同一人物同士なんです」

「そうなんですね。今日はやっぱりセイ狩に?」

「いえ、実は旅の途中で竹馬が岩場に刺さっちゃって、野相撲で資金集めしてるところなんです」

「そうなんですね。旅の目的は?」

「自分探しです」

「え、隣にいる方ってどなたでしたっけ?」

「私ですね。同一人物同士ですから。あ」

 鮪は隣を見た。

 隣には自分が立っていた。


「これからの旅の御予定は?」

「はい、今折り返しに入りました!」

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