第1話 次の依頼者

 原稿用紙を前に下田優人は悩んでいた。

「怪魚事件記録       下田優人


 私は、この夏、」

の続きが思い浮かばない。

 どうしたものか。もともと原稿は苦手だったのに。今回は将棋執筆クラブも関係しているのだ。

「向こうは、随筆エッセイは異例だって喜んでたな」あの時の喜び顔を思い出すと胸が痛くなる。

 何しろあれは、薄木按司うすきあんじ九段の殺害未遂の事件だった。それに、下田は直接的に加わってはいなかったが……なぜか責任を感じる。

 下田は顔をゆがませながら、筆を執った。

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名探偵下田優人File.2 命がけの飛び移り劇! 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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