第2話 悪役令嬢様と、恋の病

「はぁ~~~~」

私は、部屋につくなり、着替えもせずに、ベットに倒れこむ。

.....フェミーちゃんに嫌われてしまったかな?

先ほどの出来事から頭をよぎるのは、そんなことばかりだ。

.......いや、私にとっては、そんなことで済ませられる話ではないのだが。


コンコン


「フェリー様。いらっしゃいますでしょうか」

この声は、、、、フェミーちゃん!?

「えぇ、いますわ。ちょっとお待ちください。」


少し乱れた髪を軽く整え、ドアを開ける。

......うん。やっぱり、フェミーちゃんだ。彼女を見るたびに、胸がドキッとして、苦しくなる。


「先ほどは申し訳ございませんでしたっ.......」


そういったフェミーちゃんは、私に深々と頭を下げる。


「えっ?」


まさか、突然謝られると思っていなかった私は、思わず、小さく声を漏らす。


「フェリー様はわざわざ平民の私に勉強を教えてくださろうをしたのに、


 貴族の方に話しかけられるのが初めてで、混乱してしまって、、、」

なるほど。怯えたような様子を見せていたのは、そのせいか。

.......って、こんな風に、私はすぐ人を信用するから、なめられるんだろうな。


「ごめんなさい。陛下の誤解をすぐに解こうとせず、フェリー様にご迷惑をおかけしてしまって。」


......いま、このときは、彼女のことを信用してもいいかしら?

目の前で頭を下げ続ける彼女は、私には嘘をついているようには見えない。


「顔を上げてください。」


ほとんど反射的に、そんな言葉が私の口から出た。

......前世では、自分が正しいと思ったことを、貫けなかった。


だから、今世では、他人の言葉に惑わされず、

自分で決めて行動したい。そう思ったから。


彼女は、私が怒っていると思っているのか、恐る恐る顔を上げた。

だが、顔を上げたフェミーちゃんは、目を見開いた。


彼女の大きい瞳には、自分でも呆れかえるほどの優しい笑みが映っていた。

だってそうでしょう。好きな人には、人一倍、優しくできるもの。

少なくとも、私はそう思っている。


そんな風に私が思っていると。

彼女の大きい瞳には、あっという間に涙でぬれ、瞳から流れ出た涙が、

一粒、また一粒と、彼女の薄紅色の頬につたる。


「えっ、えっ!?どうしたの!?」


思わず私は取り乱す。

好きな人の泣き顔なんて、世界で一番見たくない。

どうして!?わからない......!


「ごっ、ごめっ、、、ん、、なさ、、、い。」


「どっ、どうしてあなたが誤るの!?わ、わたくしがわるかった「違うんです!!!」


私の言葉をさえぎって、彼女が大きな声を上げる。


先ほど、セフィア様に話をさえぎられたときは、不愉快でしかなかったが、

彼女に話をさえぎられても、悪い気はしない。


「あ、、、すみません。話をさえぎってしまって。

でも、これだけは伝えたかった。フェリー様は悪くない。

それに、自分が悪くないとおもうなら、謝る必要は無いと、私はおもいます!」


あぁ、そうか。そうなのか。前世で私は、謝ってばっかだった。


人に嫌われたくないから。自分に非がないと思っていても、謝ってしまう。

でも、彼女にそういわれると、そうなんだ、と納得してしまう。

彼女の話は、いつも自信をもって話すから、どんな話でも、人を納得させる。

そんな力が、彼女にはある。


「で、どうして貴方は泣いたの?.......あぁっ、別に、話しにくかったら話さなくてもいいわ」


「いえ、話させてください。最も、少しフェリー様には、失礼な話になってしまいますが....」


「いいわよ?話してくださるとうれしいわ。」


「はい、わかりました」


そのあと、フェミーちゃんが語った内容は、私の耳を疑うことばかりだった。


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