第1話 転生悪役令嬢様の過去と今

国立魔法学園。


そこには、この国にいる貴族の中でも、権力、財力、そして魔力が優れたものしか入学できないような学校だ。

そして、今日はそんな学園の入学式。

ヒロインはもちろん、私や、ゲームの攻略キャラ達も、今日、この学園に入学する。

まぁ、そんな入学式も終わり、今は入学式後に、一時間だけ行われる

授業の時間だが。

正直、授業はかなり簡単だった。

前世の記憶があるのももちろんだが、過去のユリットは、かなりの博識ということが分かった。

きっと、第二皇子である婚約者に見合った人でありたいと、努力に努力を重ねたのだろう。

そんなことを考えていると、いつの間にか授業が終わっていた。






.....さて、これからどうしようか。

これからについて考えていると、前の席で、「うぅ~ん」と唸っている少女がいる。


このゲームのヒロイン、「フェミー・クレイル」だ。


私は少し迷った後、彼女に勉強を教えてあげることにした。


「あの、もしよかったら、教えて差し「何している!ユリット!」


私の声をさえぎりながら、怒号を浴びせてきたのは、婚約者である、セフィア・カタリエスだった。


「何、といわれましても、ただ彼女に勉強を教えて差し上げようと

しただけですわ。」


「じゃあ、どうして彼女はこんなに怯えているんだ!?」


「えっ?」


その言葉で、彼女のことを見てみると、彼女は顔面蒼白で、

唇はフルフルと震えていた。


.......どうして?わたしは、知らず知らずのうちに、彼女を傷つけてしまっていたの?


「ほら、やっぱり何かしたんじゃないか。さすがに何をしたかまではわからないが....... 大方、彼女が気に食わなかったんだろう。

 光魔法が使えるだけで、平民のくせに贔屓され、婚約者である俺の興味が

彼女に行くのが嫌だったんだろう。」


.......何?この人は何を言っているの?


「この際だからはっきり言っておく。

俺はお前のことなんてなんとも思っていない。これ以上彼女を傷つけるな」


クラスメイトから向けられる視線が痛い。

あぁ、この視線、懐かしい......
















私は前世で恋をした。

でも、私が恋をした相手は、女の子だった。

斜め前の席の、笑顔がまぶしい、女の子。

こんな気持ちを言ったら、きもがられて、友達じゃいられなくなる。


だから、ずっとこの気持ちを押しとどめていたのに。

.....私の恋は、驚くぐらい、あっという間に終わってしまった。


ある日、私は、学校に秘密の日記帳を持ってきてしまった。

私の恋心を綴った、秘密の日記帳。


そんな日記帳は、クラスの一軍女子たちに、ばれて、あっという間に奪われてしまった。


(返して、返してよ!私が何したっていうの!?)

(ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃんうるさいわね!こんな気持ち悪いこと書いて、

バッカみたい!)


あははは!という、一軍女子たちの笑い声が、

鬱陶しいぐらい私の耳に、絡みつく。


私の、恋はさんざんネタにされた挙句、

私の恋は、クラスだけではなく、学校中に知られてしまった。

驚くくらい、あっという間に。


そして、もちろん恋した女の子にもばれて、私は、避けられるようになったしまった。


でも、そんな情けない話、親にできるわけなくて....

だんだん学校に通えなくなって、いつしか不登校になった。


そんな時に出会ったのが、「魔法学園物語~君と共に歩む未来~」と、出会った。

乙女ゲームの世界は、どの作品もキラキラしていて........

そんな中でも、魔法学園物語は、、、フェミーちゃんは、どんな作品よりも、

ずっとずっと輝いて見えた。


そして私は、どんどんのめりこむようになり、

フェミーちゃんを見るたびに、胸がどきどきして、苦しくなった。

我ながら二次元キャラを好きになるなんて、

どうかと思ったが、好きになるのは止められない。

現実では、私がかってに恋をしたせいで、相手に迷惑をかけてしまった。

でも、フェミーちゃんは、二次元のキャラだから、私が恋をしようが、

迷惑は掛からない。


そして、フェミーちゃんは、私のことを裏切らない。裏切りようがない。

実際には会えなくてもいい。そう思っていた。














フェミーちゃんは生きている。

生きていれば、嘘もつくし、人を傷つける。

私はフェミーちゃんを傷つけたくないし、傷つけられたくない。

これは、私の我儘だ。

そんなのわかってる。

それでも、これだけは伝えたい。フェミーちゃんに嫌われたくない。

そんな思いも、心の中にはあるのかもしれない。


でも、これは、今世で生きるための、私の誓い。


..........どんなに嘘をついても、後悔しても、この言葉だけは、取り消さない。


「自分が"正しい”と思ったことを貫いて......

自分の好きを貫き通すことの、何が悪いのですか?」

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