第16話 復讐便所
藤岡明日菜。
高校二年生です──成績は中の上くらい。これといって取り柄のない私ですが、最近ちょっと良いことがありました──
それは──
初めての彼氏ができたことです!
ただ、彼と付き合い始めてから舞い上がってしまい、ついそっちの事ばかり考えていて、何とかバレないように抑えていますが、もう無理かも知れません──
だって明日はついに彼の、初めて男の子の家に行くんですから!
『お前たちに神託を授ける──』
あれは夢です。
あれは絶対に夢なんですっ!
◆
「あ、あぁ…ッ」
「ははっ、あははっ! 死ね! 早く出して死んでくださいよッ!」
恐怖の対象でしかなかったあの四騎士の一人である[
まるで無抵抗の捕虜だ。
「……ウッ!」
「あは、やっぱり…! 前から思ってましたけど、ただの早漏じゃないですか。しかもドーピングアイテムがなきゃただの豚ですよね」
ログインポイントである多目的トイレに帰ってきたのは一時間ほど前だった。
狂おしいほどの飢餓と多幸感と快楽から気持ちよく目覚めると、そこには倒れた
「あぁ…夢みたい…!」
「ぎぅ、ぁぁ…おお…ぉう!」
大量のオドによりプレイヤーとして復活したせいか、久しく忘れていた怒りが燃え盛る炎のように身体中を駆け巡り、本能のままにこのデブを縛り上げた。
ギチギチと肉に食い込む赤いロープは特注品で、縛り方なんて、ここ半年で覚えてしまっていた。
だからすぐにボンレスハム太郎が出来上がった。
私が神託を受け取ったのは半年前になる。
串刺しの夢を見て、ザクロを食べる夢を見て、そして戦士になった。
けど
けれど、現実では何とか彼氏から受け取って難を逃れていた。
だけど、アプデによるガチャでたまたま
しかもそれは最悪とまではいかないものの、最悪の部類には間違いなく、最前線の補給を支える四騎士の一人、[
このデブはすぐに私の彼氏の存在に気づき、彼の目の前で私を何度も犯した。
処女性は、あの天使が尤も評価するポイントだった。
だから彼氏には悪いけど、レベルアップ時に有利な条件を捨てたくなくて、大事に取っていたのに、あっさりと突き破られた。
そんな深い憎しみや悲しみの感情すら肉人形では発現しない。
オドの煌めきしか寄る辺がないのだ。
彼はそれでも笑っていた。
認識されてはなかったけど、笑っているのに、どこか悲しそうな顔で話しかけてくるし、でも心の中で泣いても叫んでも助けは伝わらなくて、それにこそデブは興奮して私の中に何度も何度も吐き出していた。
その恨み辛みが今まさに爆発してしまったのだ。
「くそぉ、ぐす、あはっ、ぐす、死ねよ! お願いだから死んでてくださいよぉ!」
「ぉう、おおうッ!」
それからは我慢するしかない日々が続いた。意識はあるのに逆らえない日々は苦痛すら認識させてもらえない。
たまに貰うデブからの休みも、彼氏は普通では勃たなくなっていて、オドを受け取れなかった。認識されてないはずなのに無意識化や深層心理では実は伝わっていると考察班は書いていたことを思い出し、絶望したのは記憶に新しい。
少しづつ認識がはっきりしてきて、思考が戻ってきた時、なぜかコイツは急に優しく接してきたのだ。
美容クリームやレアアイテムを与えてきたりして、やり過ぎたと反省したのかなと思った。
綺麗になったことで彼氏も単純に喜ぶし、長年の悩みだった皮膚炎も無くなっていった。
それからは少しづつデブの無茶な要求も受け入れるようにはなっていた。
何せ、掲示板ではニビルを巻き上げられたとか、都市伝説だとかそんな風に書かれていたけど、現実にまで作用するレアアイテムは確かにあったのだから。
こんな最低な世界でも、綺麗になることに拒否感なんて生まれなかった。世間はバカとブスには冷たいのはもう変えられないルールみたいなものだったから。
そうして、もうすぐプレイヤーとして復活出来るタイミングで、このデブは殺しにきた。
「少しはッ! 良いかなってッ! 思ってたのにッ! ぐすっ、う、うっ、う…このっ!!」
「ぅッ! ウウッ…!」
私に装着させて遊ぶ大人の玩具だけど、ピンクの紐を豚の尻尾のように生やしながらブルブル震えるこいつの股間へ、足を振り上げローファーで思い切り踏みつけた。
「ぅウウッ…!」
情けなく無駄撃ちするコイツはオド格差のせいで何にも逆らえない、ただの奴隷だ。
玩具にしろロープにしろ、それはコイツの私への露出調教のためのグッズだった。
こいつの命令で仕方なく持っていたけど、それがスクールバッグに沢山入っていた。
それらを全部使い、このデブを虐め抜く。
私がされたように。
情け無い写真を撮るのはただの恨みからだけど、残された残機である現実側のオドを残らず吐き出させ、今までの恨みを晴らすようにしながら本当の屍体になるまで追い込む。もちろんSNSのマゾサイトにコイツのスマホで自己紹介させ、三日の内に引き会わせる。
そうすれば、意識を取り戻しても戻れないマゾ豚へと生まれ変わる、らしい。
それが女戦士の復讐の仕方だと花束❤︎掲示板には書いていた。
現実世界で殺してもいいけど、おすすめはしないと書かれていた。
あの悪キューレのように、バッドステータスがつくのだと。
それは一生の咎になる恐れがある。
だから私には出来そうにない。
だって大事な人がいるんだもの。
「そうです…忘れてました。女の子のデータを全て消してください」
「ぁ、うぅ?」
「…? ああ、オドが足りませんでしたか? 実は男性側の方がオド接種は不利なんですよね。ニビルがなきゃ。あははっ、さぁ、約束するなら口を開けて。全て飲み干しなさい」
「あ、あぁぁぁぁ…がぼ、がぼぼぉぉぉ」
「ふ、ふふっ、くっ、くひ、ふふ、あははは…! ぐす、あはは…ひっく、ほ、ほらちゃんと飲んでなさいよぉ!」
私も随分と躊躇が無くなってしまった。
今でも泣きたくなるし、半年前なら考えたこともなかったけど、体感では一年半もこんな世界にいるし、おそらくこいつと何にも変わらないんだと思う。
「はぁ、はぁ、ぐすっ、こ、溢した分、床を綺麗に舐め取ってください」
「うぼ、ぉうぅ、は、はい…」
いや、コイツのせいだ。
このデブのせいなんですっ!
「あは、無様…ほんとうにいい気味…!」
「ぅう…! …ああ、美味しい美味しいよぉ…」
「くっ、早くデータを消してくださいっ! それから仰向けになりなさい。またオドをみっちりと吐き出させて堕としてあげますよッ!」
「ひ、ひぃ…」
この学校指定の茶のローファーでね。
最後は靴裏ごと自ら舐めとらせてあげます。
「帰りは貴方の好きなお散歩スタイルで帰りましょうか。命令と違って自分の意志でこんな格好…この姿で帰るなんて恥ずかしいことこの上無いんですけど、プレイヤーに印象付けられるでしょうし…」
[
「あぁぁぁ……! 濃厚でぇ、凶悪でぇ、あは、それでいて神聖で悪魔的で魂に染み渡る魅惑のオド…! うぅっ、また注いで欲しいですぅぅ…!」
「ぎェェッ!?」
あの方はやはり神様だったのでしょう。
現実に戻っても、お腹が暖かいんですよ。
これはレアアイテムの時と同じ現象なんです。
こんなに陵辱されて、あんなに雌豚にされても耐えてきた私へ本当の神様からのご褒美なんですよね。
「ぃだいぅ、ぅう…ウッ!」
「あは、もうマゾ化してきたんでちゅか? あはは、情け無いでちゅね! ほらもう一回その汚いオドを透明になるまでしごき出してくださいッ!」
「あ、ぅぅ…ウッ…!」
あの私の水晶を渡したのも、どうせプレイヤーに戻るから意味が無いって、彼を騙したのでしょうけど、こっちから拒否はできるんですよ?
契約したことがないから知らないんでしょうけどね。
「ぐすっ、あはは、だからこれは浮気じゃないんですよ、隆くん」
どう足掻いても無意識の中で深層心理の中なんですけど、ネトラレマゾ化させたらごめんなさい。
もう手遅れかも知れないんですけど、それ私のせいじゃないんです。
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