第4話 戦乙女Z
今日、終始存在が気薄だった黒川さんがリストにあった。他にも学校内で有名な女の子の名前もある。
名前をタップすると様々な事が書いてあった。
「パパ活リストだったのか…」
そうとしか思えないほどの異性の名前が並んでる。具体的には男子らしき名前と、★の数。
いや、これどっちがどっち評価してるんでしょうか。どっちにしろあの黒川さんが清楚ビッチ確定とか嫌なんですけど。
「はい夢ー」
これで夢が確定した。
クラスメイトにこんな秘密があるはずはない。
僕は信じない。
童貞は夢に生きるのです。
ユートピア最高。
リアルはクソ。
知らなきゃ夢のまま。
「もしかしてガチャの景品ってこれ?」
人が当たるのだろうか。
人権団体とか黙ってないと思いますが。
「そんな責任なんて誰も負えないと思うけど…奴隷の文化なんてないですし上手く扱えないと思うんですが」
我が国にそんな文化的蓄積はないですし。
「でもそう考えてみると、ガチャだと責任が軽く感じる感あるな…それが狙い…?」
という僕の願望とか…?
ここまでアメリカナイズドされてるとかマジですか…?
いくら頭の中海綿体のお年頃とはいえ、倫理道徳くらいはありますよ?
まあ、ぼっちではあるけど、異性に興味がないわけではないですし、むしろ性欲自体は強く待て余していたくらいではありますが。
「…まさかこのメダルで買えちゃう説ある?」
夢ならいいんじゃないでしょうか。
いや、でもこんな小さなメダルでパパ活はないか。いや、このニビルがどこのお金か知らないけど円との為替次第か。いやいや、同級生買うとか気まずいレベルじゃないからしたくはない。
なら隣のクラスは?
まあ、うん。
そういう距離感、憧れます。
そういえば前の席の誰だっけ、あの男子は彼女のことを何て言ってた?
役立たずだと言ってなかったかな?
正直美少女なんだし、それだけでお役に立つと思うけど。いろいろと。ゴミカスみたいな思考だけど、思ってしまうのだから仕方ない。
いや、さっきのムラムラのせいだきっと。
「そういえば…どんな性格だったっけ…」
一応はどんな人とか性格なども書かれていた。
自薦他薦はわからない。
だけど、思い当たる記憶がない。
まあ、絡んだ事無いからかもだけど。
一応、陰キャどころか隠キャを自称してる僕は、目立つ生徒をそれなりに把握している。
隠遁のためには観察は必須スキルなんですよね。
巻き込まれたら大惨事ですから。
今現在、夢じゃなければ何かしらに巻き込まれてますが。
そんな僕の記憶の黒川さんがすっぽり消えてる不思議。
「…ん?」
なんだこれ。
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「…」
スクロールすると、こんなのが黒川さんの下に並んでいた。
というかなんだこの募集。
書き方に違和感しかない。
しかもギルドって何?
組合だよね。
黒川さんが?
いや、彼女とは一年の時も同じクラスで…たしかクラスの中心的な子で、友達は多かったからおかしくは…ない…はず…?
「…ない、はず? やっぱりいろいろ忘れてる気がするな…」
いつからかわからないけど、これはそういう風に思わされていたのかもしれない。
多分悪魔とか妖精みたいな。
そんな悪質なイタズラっぽい。
考え過ぎかな。
とりあえず悪霊や幽霊や怪異は怖いから却下しました。
「あっ」
怖いことは考えないようにとポイポイメダルを投入していたんだけど、だんだんと面倒になってきて鞄を傾けながらジャララと入れていた。
でもやっぱりそんな考え事してしまっていたせいで、手を滑らせ鞄ごと全部ぶち込んでしまった。
あるあるですね。
お米とかコーヒーなんかでたまにやります。
「あーあ。……鞄ごと…?」
試しに腕時計を投げ入れると、吸い込まれて消えた。下にもない。辺りを見渡しても、誰も何も帰ってきやしない。
今度はその辺の瓦礫とか看板とか道祖神とか招き猫とかいろいろ入れてみた。
めっちゃ入る。
おもろ。
でも何にも起きない。
ニビルも増えない。
それとこのウインドウ、好きな位置に動かせるのは確認済みだった。
なのでつい足を突っ込んでみた。
熱いかどうか確認する感じで。
幸い怖さや脅威は感じない。
むしろ生温い暖かさに満ちていた。
足湯みたいな感じかな。
膝まで入れよ。
結構歩いたし。
ベンチベンチ…椅子はあった。
真ん中に穴の空いたビニールの座面。
三脚はバランス悪いと思いますけど、まあ、ふぃ。
「ふ──。なんかドクターフィシュ感あるな。炭酸風呂かな」
そういえば古い映画で、便座に吸い込まれる俳優いたよね。
こんな青みの世界っていうか。
いやあれは電子ジャーだっけ。
それは緑の異星人大魔王か。
いやあれはドラッグキメた幻覚だっけ。
ああ、気持ちいい。
まるで膝から下が溶けてなくなっているかのような………ん?
「……これ僕の脚、溶けてない…? ぅおっ!?」
そうして僕はうっかり足を滑らせそのウインドウに落ちたのです。
やっぱり椅子は四つ足じゃないとダメですよね。
◆
次に目を開けるとそこは最初の不思議商店だった。棚がちゃんと戻っていて、商品を触っても今度は消えなかった。
そして足はある。
良かった。
『キミ、どうやって来たのです?』
いろいろ店内を物色していたら声をかけられた。
それは恐ろしいほど冷たく澄んだ声。
ゆっくり振り向くと、そこには天使っぽい幼女がいました。
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