第11話
『そうなんだ?いつ別れたの?』
無口っぽくて無愛想だと思っていた客が、そう聞いてきた。
『…二月』
あたしは、うつむきながら答えた。
あの頃の感情が戻ってくるようで、客の方を見る事ができない。
『ふーん…泣いた?』
なんで、そんなコト聞いてくるの?
『うん、いっぱい。しばらくゴハン食べられなかったしね!』
笑い話にするつもりで、あたしは明るく答えた。
『俺も…そうだったなぁ』
なんだか、耳に入ってくるその人の『声』が優しくて…。
外見は、少し怖そうな感じなのに。
頬に傷があり、最初顔を合わせた時は、どっかのヤーさんかと思った。
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