第4話 手紙

「...おいおい、何つーサイト見てんだよ」と、友達の赤坂雄二が言ってくる。


 見ていたのは赤ちゃんの抱っこの仕方であった。


「あっ、こ、これはまぁ...予行演習というか...」

「いや...ステップをいろいろ間違えすぎだろ。まずは彼女作れよ」

「...おう」


 そうして、朝からそんなやりとりをしていると、玲奈さんがやってくる。


 よ、よし声をかけるぞ。


「お、おはよう...!」と、少し緊張しながら声をかける。

いきなり声をかけてしかも名前呼びということもあり、視線がこちらに集まる。


 しかし、玲奈さんは俺を無視してそのまま席に座った。


 ...え?ナニコレ?昨日のあれは夢だった...とか?と思っていると、「おいおいおい何とち狂ってんだよ」と、雄二が俺の肩を強くつかむ。


「噂...知らないのか?この前、変なおっさんと二人で街を歩いてたって話...。まじでやべーだろ」


 それは恐らく、彼女を妬んだ誰かが流した噂だ...。

もしかして、何かされたのか...?だから俺を巻き込まないように無視しているとか...。


「...そっか...」


 そうして、いつも通り窓際で一人寂しく本を読む玲奈さん。


 きっと、今までの俺ならここで黙って静観していただろう。

だけど、俺は彼氏なんだ。なら...。


 そのままゆっくりと席を立ち、玲奈さんのところに行って、「おはよう」と、少し笑いながらそういうと「...おはよう」と、少し小さな声で目線を逸らしながらそう返答してくれた。


 やっぱりクラスメイトからの目線は冷ややかで、それでも俺は挨拶をしたことは後悔していない。


 ◇放課後


 その日は特に特別なことは起こらず、RINEで『昨日のことは忘れて。私には話しかけないで』と連絡を無視して、少し時間が空いた時には出来るだけ玲奈さんに話しかけに行った。


 最初こそ、困った顔というか、申し訳なさそうにしていたが、それでも懲りない俺に仕方なく話してくれるようになった。


 けど、きっと怒ってるだろうな。

俺のことを思っての行動だったんだろうし、それを無視して話しかけちゃったわけだし。


 そうして迎えた放課後、『今日も家に行っていいですか?』と、聞くと『来てくれると嬉しいわ。話もあるし』と言われてしまう。


 少し怯えながら彼女の家に向かう。


「...なんで私に話しかけたの?」と、家に着くと早速説教モードでそう言われた。


「...す、すみません...」

「すみませんじゃなくて、私は理由を聞いているの」

「...それは...やっぱり...学校でも話したいなって思ったから。友達ほしいって言ってたし」

「...はぁ。...そう...。まず、ありがとうね。声をかけてくれたことは素直にうれしかった」


 そんな言葉に目を輝かせていると、「けど、それでも話しかけるべきではなかった私は思っているけど」と、ちゃんと叱られる。


「それで...?何があったの?」


 すると、カバンから1枚の手紙を取り出すのだった。


「これ...」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

次の更新予定

毎日 00:15 予定は変更される可能性があります

私と子育てしてくれませんか?〜学校1可愛い女の子に告白後言われたのはそんな台詞だった〜 田中又雄 @tanakamatao01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ