第3話 好きな所

「それで?私と同棲してくれるの?」

「えーっと...それは正直厳しいといいますか...何と言いますか...」

「厳しい?まぁ、そうね。おうちの人が心配するものね」

「そう...ですね」


 腕の中でようやく眠ってくれた赤ん坊を赤ん坊用のベッド的な所に置く。


「...私のことは好き?」

「そ、それは...もちろん」

「私も大好きよ。そうね...。今はそれで満足するとするわ。ということで、これからお付き合いしていくのだけれど、申し訳ないけれど基本的には外で遊ぶことは難しいわ。だから、デートとかは基本的に私の家、もしくは小林くんの家...いえ...それもきっと難しいでしょうから、私の家のみになるけどいいかしら?」

「...そ、それは大丈夫です」

「そう。利口な子は好きよ?」


 そうして、不敵な笑みを見せると、そのままソファに座る。


「じゃあ、とりあえず...私のことをいつ好きになったのか、どこが好きなのか、私にどうしてほしいとかそういう聞かせてくれる?」

「...え?」

「何?いやなの?」

「め、滅相もございません!」

「ふふっ、従順な子も私は好きよ?」


 いわれるがまま俺は会長の隣に座る。


「それじゃあ、話を聞かせてくれるかしら?」


 俺は少し頬を赤くしながら会長を好きになった経緯を話し始めた。


 ―30分後


 ざっくりと経緯を話し終わり、会長の好きな所と、お願いしたいことなどを伝えると、少し退屈そうな顔で俺を見つめていた。


「...えっと...ごめんなさい。つまらない話でしたよね...」

「そうね。つまらなかったわ」

「...ごめんなさい」

「私が何でつまらないって言ったと思う?」

「それは...俺の話が下手だから...ですかね?もしくは在り来たりだったから...」

「違うわ。経緯についてはまぁ私も同じような感じだから。なんとなく好きになった。それに子供にも優しくしてくれそうだし、小林くんならいいかなって思った。そこは別に責めていないわ。けど、好きな所とお願いしたいことに関してはすごくがっかりしたわ」


 ちなみに俺が言った会長の好きな所とは、勉強とか何か作業をしているときの横顔と、うなじ...だった。

そして、お願いしたいことはできればずっと一緒に居たいなんていうこっぱずかしいことだった。


 しかし、どうやらその回答では不満のようだった。


「本当に好きな所はおっぱいとお尻。お願いしたいことはエッチなことをたくさんしたいとかだったら素直に喜んでいたのに」

「い、いや!!それ、それは...!!//」

「えぇ、確かにそうよね。胸なら後藤さんのほうが大きいし、お尻なら宮島さんのほうが大きい。エッチなことも私みたいな堅物女としても楽しくなさそうだものね」と、遠い目をしながら呟く。


「じゃ、じゃあ...!会長は俺のどこが好きなんですか!俺にお願いしたいことって「嫌いな所なんて何一つないわ。その従順でまっすぐな目と、照れるとすぐ赤くなるところ、私を見るときの少しエッチな目線も、小さいあそこも好きよ。それに小林くんに命令されればどこだって舐められるし、私の体のいろんなところを舐めてほしい。そんな淫乱な私を蔑んだ目で見てほしい。まぁ、こんなところかしら」


 ...かぶせて言ってきた!そ、想像以上にすごい人だった!!//


「...それに...そうね。お願いということならもう一つ...。学校で私と話してほしい。ほら、留年しちゃったから、クラスで友達も居ないから。...寂しいのよ。もちろん、いろんな噂が流れている私と仲よくしようものなら小林くんが何を言われるかわからないから無理にとは「そんなこと、お願いされなくてもしますよ」


 今度は俺がかぶせるようにそう言った。


「...ふふ...。そういうまっすぐな所が一番好きよ。あと、被せるのが得意なのは息子も皮を被っているからかしら?」

「い、いつ見たんですか!?」

「何となくよ。大丈夫、私が脱がせてあげるから。それと...もう会長呼びはやめてくれる?もうあなたの先輩でもなければ会長という役職でもなく...あなたの彼女なんだから。私も祐樹君って呼ぶわ。だから私ことは玲奈って呼んで?」


 そうやって笑顔で会長...いや玲奈さんは言った。


「はい...。玲奈さん」


 多分、その笑顔が一番好きなところだった。

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