第9話 あらすじ と こうがい

 前回のお話で「一般にWEB読者はとても逃げ足が速いので、作者は読者を見かけた瞬間にガツンとぶん殴ってでも(もちろん文章でねw)足を止め、逃げ足を封じて読ませなければいけません」と書きました。


 今回は、上手なぶん殴り方(笑)のレクチャーになります。


 作者がまず第一に読者を発見したら(読者と作者が初めて出会うのはタイトルとキャッチコピーになりますね)、タイトルとキャッチコピーでガツン! と、一発くらわせます。


 あなたの作品を今までスルーして通り過ぎていた、道行く一般人読者を強引に立ち止まらせるのです。


 次に『あらすじ』というひも(ロープ)で足を縛って逃げ足を封じて逃げる気力を奪ってから、読者の目の前にあなたの作品をバ、バーン! と突きつけるわけです。


「さぁ読め!」と。


「一話だけでも読んだら解放してあげるから、とりあえず読んでごらん」と、猫なで声も使ってあの手この手で懐柔して第一話を読ませます。


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 ようやく第一話を読んで貰えるところまでこぎつけましたね。


 ちょっと例えが暴力的でしたが、そもそもあなたの事を何も知らない大多数の読者は、こちらから強力なアクションを起こさなければ、あなたの事を知る事も無いですし、足をとめてくれる事もなく通り過ぎてしまいます。


 タイトルとキャッチコピーの重要性を再確認したところで、次の段階である『あらすじ』です。


 私はカクヨム内のコンテスト以外で『賞』に応募した事が無かったので、先達の創作論を読むまでは知らなかったのですが、新人賞や直木賞などの『賞』に応募する時には『あらすじ』では無く『梗概こうがい』というものを書いて応募するそうです。

 

 あらすじと梗概こうがいは、どちらも物語のあらましや大略を意味する言葉です。


『梗概』は、物語を要約したもので、序盤中盤終盤と見どころや話の流れを書きます。


 それを読んだら本文を読まなくて良いんじゃないか? という物語の核心のネタバレも遠慮なく書かないといけないものなのです。始まりからまで全てきっちりと書きます。


 一方の『あらすじ』はその物語のジャンルや世界観、主要な登場人物が何をしてどうなるか、等のストーリーの見どころをで書きます。


 カクヨム等のWEB小説投稿サイトで求められているのは、読者がその物語を読むかどうか判断する為の『あらすじ』の方です。


 WEB小説をカクヨム等のWEB小説投稿サイトに投稿するのに馴染みのなかった公募勢の皆様は、『賞』に応募する時の感覚で作成した『梗概こうがい』を書いていたりしませんか?


 わざわざ自らネタバレを進んでしてしまうと、本文を読む前に『梗概あらすじ』を読んだだけで結末を知れて満足してしまった読者の方が第一話の本文を読む事もなく去って行ってしまいますよ?


 つまりPVは増えない!


 本文を読んでもらえていないので、♡も☆もコメントも付きません。 


 非常にもったいない!


梗概こうがい』ではなく『あらすじ』を書きましょう。




 では、WEB小説における良い『あらすじ』とは何か?


 仮に、ネタバレ禁止で、重要な事は全て秘して書いたとしましょう。


 そうするとどうなるかと言うと、せっかくタイトルとキャッチコピーを見て、「おっ、面白そうだから読んでみようかな」と思って『あらすじ』を見てみると、どんな作品なのか、自分の読みたい展開が出てくるのかが判別できない。


 ここで読者の心情がどっちになると思いますか?


①「よくわからないけど、読んでみよう」


②「よくわからないから、やめておこう」


 ①を選んでくれる読者の方は、作者にとって神の様な存在ですね。ですが圧倒的多数なのは②の方だと思います。


 なぜならば、隣を見てみれば無料ただで読める作品で自分好みだと『タイトルとあらすじ』でわかりきっている作品がおいてあるから。


 限りある時間を有効に使う為に、誰だってそちらを選んで読むと思います。


 これではいけませんね。せっかくタイトルとキャッチコピーで興味を持ってくれた読者を逃がしてしまいました。



 ネタバレした方が良いのかしない方が良いのかどっちだよ! って思わせてしまったら、ごめんなさい。


 答えはちょうどいい塩梅で、読者の読みたい展開を開示して誘いつつ、決定的な核心となるネタバレは伏せる。ということになります。


 ケースバイケースで作品一つ一つについて、最適解が変わってきます。抽象的でわかりづらいかと思いますので、具体的に言いますね。


 タイトルとキャッチコピーのところでも言いましたが、その作品と同じジャンルのランキングの上位作品のあらすじを参考にしてください。


 これらの作品はあらすじでも、読者の心をガッチリキャッチする事に成功しているというのは間違いないので、いくつか見ていく内に、何を書いて何を伏せるべきかというのが見えてくると思います。


 

 大事な事 〜その九〜


 成功している作品から学ぼう!


 

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