16. クラウディアの薬草療法

火災直後の対応

グレゴリウスが火災から辰砂を持ち出した際、彼の手や腕は熱による火傷を負っていました。屋敷中が混乱する中、クラウディアはただちに状況を把握し、冷静に指示を出します。

「火傷にはアロエが最適です。すぐに薬草園に使いを走らせてください!」

使いの者が馬に乗り、クラウディアの薬草園へ急ぐ間、クラウディアは応急処置として冷たい布で火傷を冷やし、グレゴリウスの様子を見守りました。

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薬草園でのアンナの対応

その頃、ストラホフ修道院近くの薬草園では、アンナが乾燥中の薬草を棚に並べていました。使いの者が息を切らせながら駆け込んできたとき、彼女はすぐに緊急事態だと察します。

「火傷用のアロエをすぐに用意してくれと言われました!グレゴリウス様が……!」

アンナは一瞬驚いたものの、すぐに行動に移りました。「待っていてください!今すぐ採取してきます!」

薬草園の片隅に育つ新鮮なアロエを数本切り取ると、その葉を素早く包みにして使いの者に渡しました。

「これを急いで持って行ってください。葉を切って中のゼリーを患部に塗るようにとお伝えください!」

使いの者は再び馬に乗り、全速力でグレゴリウスの屋敷へ向かいました。

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クラウディアの治療

アロエが届くと、クラウディアは迷うことなくその葉を裂き、中のゼリーを火傷の箇所に塗り始めました。ひんやりとした感触がグレゴリウスの苦痛を少し和らげます。

「ありがとう、クラウディア……君の薬草の知識がなければ、もっと酷いことになっていただろう……」

「まだ安心しないでください。火傷は直りましたが、呼吸の方が心配です。」

クラウディアは穏やかな口調で答えたが、その目には決意が宿っていました。

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呼吸器の症状への処方

火事の煙と熱せられた辰砂の気体を吸い込んだグレゴリウスの呼吸器は、明らかに損傷を受けていました。彼は咳を繰り返し、呼吸するたびに苦しそうな様子を見せます。クラウディアは、これ以上の悪化を防ぐため、薬草療法を試みることを決意します。

「グランド・アイビーを煎じて飲ませましょう。呼吸器を落ち着かせ、咳を和らげる効果があります。それから、カモミールとペパーミントも使いましょう。炎症を抑え、呼吸を楽にするはずです。」

彼女は屋敷の厨房で、これらの薬草を調合して煎じ、グレゴリウスに提供しました。湯気の立ち上るハーブティーを手に、クラウディアは優しく言います。

「これを少しずつ飲んでください。香りを吸い込むだけでも呼吸が楽になるはずです。」

グレゴリウスは感謝の意を込めた目で彼女を見ながら、慎重に薬草茶を口に含んみました。しばらくすると、彼の呼吸はわずかに穏やかになり、咳の頻度も減りました。

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アンナとクラウディアの連携

後日、アンナはグレゴリウスの容態を案じ、クラウディアに進捗を尋ねました。

「グレゴリウス様の火傷はどうなりましたか?アロエは役に立ちましたか?」

「もちろん役に立ったわ。あなたが迅速に準備してくれたおかげよ。」

クラウディアは微笑みながらアンナを褒めました。「呼吸器の治療も少しずつ進んでいるけれど、まだ油断はできないわ。」

「何かお手伝いできることがあれば言ってください。」アンナの目には真剣な光が宿っていました。

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