第28話
「…それが、初めて明確な意志を以て犯した殺人かな。」
健の告白を珠子は黙って聞いていた。膝枕をされながら、珠子は健の腹部に耳を押しつけて心臓を動かす筋肉の動きを感じているようだった。
「健の中に、まず一人。」
くぐもった珠子の声が、健の腹に直接響く。男の健には感じようがないが、胎動のようだと思った。
「他には?」
「全部、聞くつもり?」
「うん。」
健はふーん、と呟きながら、二人目に殺した人のことを思い出そうとしていた。
「千鶴さんの頭部を残して、食べられるところは食べ終えた頃だから…そう。確か、冬の日だったかな。」
「頭部?何故、頭部だけ残したの?コレクション?」
「いいや。単純に頭部は固い骨があるから、切りわけるのが大変なだけ。…それにしても、コレクションって発想が狂ってるなあ。」
「お互い様でしょ。」
心外だとばかりに、珠子は健を見上げた。それもそうだ、と頷き、健は次の話を言葉に紡ぎ始める。
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