第2話 お絵描きオムライスとカフェ・オーレ
『メイドさん』と聞くと大抵の人たちは、マニアックなコンセプトを掲げたカフェにいるアレを思い浮かべるでしょ?
「おかえりなさいませ!ご主人さま♡」とか言うキラキラな女の子たちのこと!
「オムライス作ったりするんでしょ?ケチャップでお絵描きもしてくれるんでしょ?」
冗談じゃない。本職の立場から言わせてもらうと実にバカバカしい。
メイドさんってのは、あくまで金持ちに買われた『
あと、料理は基本的に
けど、一応お料理はできる。オムライスも・・・作れる。
でも、それは当然のことで、どんな立場であれ、私もお金持ちの家の一員だから。
ケチャップでお絵描き!?
・・・
し・・・仕方ないでしょ!『ご主人様』の命令は絶対なんだから!
「夜のお相手とかもするんでしょ?」
よく分からないけど、
ご期待通りの答えじゃなくて残念だけど、それは明確に否定させていただきます。
そりゃ、世界中探せばそういう家もあるかもしれないけど、少なくともこの家にはない。
「カフェ・オーレに美味しくなるおまじないをかけてくれるんでしょ?」
かけない。でも、指示があれば・・・(以下略)。
てか、別にカフェオレじゃなくても良くない?
「ナツキさん。掃除はもう終わったの?」
げっ・・・メイド長だ。
「そろそろ、お坊ちゃまが帰って来られるから急いでね。」
・・・そろそろ仕事に戻ります(仕事モード)。
ナツキ?私の名前。菜の花に月で『菜月』いい名前でしょ?
あと、『お坊ちゃま』なんて読んでるのはメイド長くらいだからね。
あの呼び方、嫌うんだよねー。お坊ちゃまが(笑)。なんてね。
玄関前で足を止め、足を
「そろそろかな?」
ガチャッ
その刹那、玄関の扉が開く。
「おかえりなさいませ。(ふふ笑)お坊ちゃま。」
「なっ・・・///」
屋内に足を踏み入れる少年の顔が崩れ、赤みを帯びる。
時間が止まったように動きが止まり、
ややぎこちない動きで、靴を履き替え部屋に向かう。
「お荷物をお持ちします。」
「いいよ。自分で持つ。」
「メイド長に怒られますので」
「じゃあ、
少年の返答はどこかぶっきらぼうであり、その間も顔は真っ赤で照れくさそうな表情をしている。
「おかえりなさいませ。
「菜月・・・どういうつもりだ・・・」
「・・・?お坊ちゃまはお坊ちゃまですよ?」
少年の歯を食いしばるような口調での質問に私はわざときょとんとした表情で答えてみる。
「その呼び方は嫌いだって知ってるだろ。」
「ほんの
「おまえなぁ」
陽太の部屋に着き、菜月は手提げカバンを手渡す。
「それでは、お食事の準備が出来ましたらお呼びします。」
「わかってる」
少しバツが悪そうな顔で部屋に入る。
私はダイニングルームに向かい、食事の準備を始める。
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