第24話
青島たちが一団に向かって進んでいく中、店内の混乱はますます激しくなった。警察が突入したものの、その数はまだ足りず、カジノ内の暴徒化した客たちを制圧するには時間がかかるだろう。青島はその状況を冷静に見極め、急いでスコッチ刑事に声をかけた。
「スコッチ、このカジノの背後にはもっと大きな力が絡んでいるはずだ。奴らが使っている薬品やウイルスもただの実験にすぎない。誰がそれを手配しているのか、突き止めないと。」
スコッチはタバコをくわえたまま、少し考えるようにしてから頷いた。「ああ、俺もそれは感じている。裏の顔を持つ連中が絡んでいるのは間違いない。でも、どこから手をつければいいのか…」
その時、和久が青島に近づいてきて、息を切らしながら言った。「青島、あのグループのリーダーらしき人物が見つかった。少し離れた部屋にいるみたいだ。今のうちに行こう。」
青島は一瞬迷ったが、すぐに決断した。「行こう、急げ。」
スネーク、和久、そしてスコッチもその後に続き、青島と共にカジノの奥へと進んだ。途中、暴れた客や倒れた客たちが彼らの進行を妨げようとするが、青島たちは素早く対応しながら進んでいった。周囲には依然として異常な薬品の匂いが漂い、何かがひどく歪んだ状況であることを感じさせた。
そして、ついにその部屋にたどり着いた。扉を開けると、中には数人の人物が集まり、いかにも怪しい装置が並んでいた。その中央に立っていた男は、青島の予想通り、裏カジノのリーダーであり、密かにこのウイルス実験を指揮していた人物だった。
「ようこそ。」男は冷たく微笑みながら言った。「待っていたよ、青島。」
青島は一歩踏み出し、鋭い眼差しでその男を見つめた。「お前が裏で糸を引いていたのか。何が目的だ? こんなことをして、何を得るつもりなんだ?」
男は一瞬、青島を見返し、冷静に答えた。「目的だと? それは簡単だよ。国家が新たな兵器を求めている時代において、最も重要なのは『支配』だ。兵士の代わりに、感情も理性もない、ただ従順な道具を作り出すことができるのだから。」
「つまり、お前は人間を兵器に変えようとしていたのか…」青島は思わず呆れたように言ったが、同時にその話が決して夢物語ではないことを痛感していた。
スコッチが言った。「青島、奴らが狙っているのは、世界中で無力化された兵士として戦争を支配することだ。彼らの背後にいるのは、単なる犯罪者じゃない。国家の一部で、地上げ屋のように何もかも取り込んでいる連中だ。」
青島はその言葉を噛みしめるようにして考えた。このカジノの裏で動いていたのは、単なるギャンブルの世界に留まらず、兵器の取引をも行う巨大な陰謀だった。そして、その背後にはもっと大きな力が働いていることが明らかになった。
「その薬品を手に入れるにはどうすればいい?」青島は冷静に男に尋ねた。
男は少し考え込み、そして無言で背後にある机の上に並べられた薬品の瓶を示した。「あれが必要なら、お前たちに渡すが、その代わりに一つ、俺に協力してもらうことになる。」
青島はその言葉に警戒心を抱いた。何かが裏で動いている。しかし、今はそれを追い詰めなければならなかった。青島は決して妥協しない。
「協力? ふざけるな。」青島は冷たく言い放ち、即座に男の動きを封じ込めるために突進した。
スネークがその後を追い、和久も続く。激しい戦闘が始まった。青島は冷静に男の動きを追い、素早くその腕を押さえ込んだ。スコッチもまた、カジノの隅から別の一団に目をつけ、事態を収拾するために動き出した。
その時、青島は不意に背後で何かが動く音を聞いた。振り返ると、すでにカジノの入り口から新たな影が忍び寄ってきていた。それは、青島が今まで見てきたことのない、さらに大きな問題を示す兆しだった。
妄想刑事ドラマ 鷹山トシキ @1982
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