第21話
黒川の言葉が胸に重く響く中、青島たちは矢追町で次の手がかりを追い始めた。黒川が言ったように、この町には深い闇が広がっており、事件の背後にある巨大な陰謀を解き明かすためには、これまでの常識を越えた場所に足を踏み入れなければならないと感じていた。
「裏カジノか…」和久が呟いた。「ここにそんなものが隠れているなんて、普通の町には思えないな。」
青島は考え込んだ。裏カジノ――その言葉には、犯罪組織の資金源や洗浄が絡んでいることが多い。矢追町の闇がそこまで深いのなら、裏カジノがその中心に位置している可能性も十分にあるだろう。だが、表向きのカジノや賭博場は警察の目が届いているため、そこに隠された真実を突き止めるのは容易ではない。
「どうやら、我々が探している手がかりは、裏カジノにあるかもしれない。」青島は決意を込めて言った。「だが、どうやってその場所を見つける?」
「そこだ。」スネークが静かに言った。「裏カジノに繋がる情報は、この町の住民の中に少しは漏れているかもしれない。だが、それを聞き出すには一つの方法がある。」
スネークはそう言いながら、町の裏通りにひっそりと営業しているという小さなバーに向かうことを提案した。そのバーは、地元の人間たちが集まる場所で、裏社会の情報が自然と集まる場所だというのだ。青島たちはその場所で、必要な情報を引き出せるかもしれないと考えた。
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バーに入ると、薄暗い照明の中で数人の客が静かに飲んでいた。カウンターの向こうにいるバーテンダーは、若干無愛想だが、青島たちが近づくとすぐに察して、警戒の眼差しを向けてきた。だが、青島は動じずに言った。
「ちょっと聞きたいことがある。裏カジノのことだ。」
バーテンダーは一瞬、青島を見つめたが、すぐに顔をしかめ、低い声で答えた。「裏カジノなんてものは知らないな。ここはただのバーだ。」
だが、青島は冷静に続けた。「わかっている。けれど、君が知っていることを教えてほしい。情報を持っているのは、君だけだと分かっている。」
その瞬間、バーテンダーの目がわずかに揺れた。青島はその微細な変化を見逃さなかった。慎重に一歩踏み込むと、青島は続けた。
「この町には、警察も関わっている裏カジノが存在していることを知っている。君がそれを知っているなら、助けてほしい。」
バーテンダーは一度、黙って考え込んだ後、ため息をつきながら言った。「まあ、お前らが警察だとすぐに分かったよ。あの場所に行くと、ろくなことにならん。裏カジノには、警察関係者も金の力で目をつぶっている連中がいる。だが、俺に関わらせるのは勘弁してくれ。行きたいなら、自分たちで見つけることだ。」
青島はバーテンダーの言葉を静かに聞いた後、しばらく沈黙した。やがて、決意を新たにして言った。
「どこにある?」
バーテンダーは再び目を伏せ、肩をすくめた。「裏通りを抜けた先にある倉庫の中だ。だが、そこに行けば、君たちの身の安全なんて保障できないぞ。」
その言葉を受けて、青島は和久、レオン、スネークと目を合わせた。裏カジノの場所がついに明らかになった。しかし、それは同時に大きな危険が待ち受けている場所でもあった。警察の手の届かない、裏の世界の中心である。
「行こう。」青島は冷静に言った。「裏カジノを押さえれば、この事件の背後にある大きな力に近づける。だが、絶対に注意しろ。」
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裏通りを歩き、指定された倉庫に到着した青島たちは、その外観からも危険な匂いを感じ取った。廃屋のような外見だが、内部には高いセキュリティが敷かれていることだろう。それでも、青島たちはためらわずに扉を押し開け、慎重に内部に足を踏み入れた。
倉庫の中は予想以上に広く、薄暗い中にいくつかのカジノゲームが設置されていた。隠された賭博場が、まるで合法的なカジノのように運営されているのだ。しかし、その背後には黒い影が潜んでおり、青島たちはその場の異常さにすぐに気づいた。
カジノのテーブルを囲む者たちの目つきはどこか冷徹で、周囲の空気は重く、まるで捕らえられるのを待つ獲物のような緊張感が漂っていた。青島たちは、次第にその場の異常な雰囲気を感じ取る。裏カジノはただの賭博場ではなく、その背後にある巨大な犯罪組織が、青島たちを試すかのように見守っているのだった。
「この裏カジノ…ただのギャンブルじゃない。ここにいる全員、何かを隠している。」青島は心の中で思った。
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