第6話

その後、青島はしばらくデスクで仕事を続けていたが、突然ドアが勢いよく開き、強い足音が響いた。青島は驚いて顔を上げると、そこにはまたもやおなじみの人物、ジーパン刑事が立っていた。


「おう、青島!」ジーパン刑事は、いつものように元気よく声をかけながら、手に持ったファイルをバサッと青島のデスクに放り投げた。


青島は思わず机を片手で支えながら、少し驚いた表情で言った。「ジーパン刑事、どうしたんですか?」


ジーパン刑事は、どこか興奮した様子で息を切らしながら、「いやな、ちょっと事件のことで急いでるんだが、さっきの件、どうなってる?」と聞いてきた。


青島は少し考えながら、「ああ、あの件ですか。調査は進めていますけど、まだ決定的な証拠は…」と答えようとしたが、その前にジーパン刑事は手を振りながら、「まあいい、そんなことはどうでもいい! それよりもだ、青島、お前、最近元気ないんじゃないか?」と、青島の顔をじっと見つめた。


青島は少し驚き、顔をしかめながら、「そんなことは…ないですよ。」


ジーパン刑事はにやりと笑いながら、「お前、井之頭五郎と一緒に昼飯食ってただろ?」と、青島の肩を軽く叩いた。「その様子、見てたぞ。お前、なんか悩んでる顔してたから、俺が助けてやるぞ。」


青島はさらに困惑した顔をして、「助けるって、どういう意味ですか?」


ジーパン刑事は得意げに胸を張りながら、「そりゃあ、恋愛相談だ! 俺にはそういう経験が豊富だからな。さっき井之頭が言ってた通り、悩んでてもしょうがないんだよ。行動しないと!」


青島はその言葉に一瞬、顔を赤らめたが、すぐに苦笑いを浮かべながら、「いや、ジーパン刑事、僕にはそんな…」と答えようとしたが、ジーパン刑事はすぐに話を続けた。


「いやいや、恋愛なんて怖くないって! 俺だって昔はな…」ジーパン刑事は過去の経験を語り始めるが、青島はその話を聞きながら、またもや思わず苦笑いをしてしまった。


ジーパン刑事はさらに続けて、「つまり、青島。お前が思い切って踏み出すことが大事なんだよ。考えすぎて行動が遅れるなんて、男らしくないぞ!」と力強く言った。


青島はしばらく黙ってその言葉を噛みしめた。そして、井之頭の言葉も思い出しながら、少し心が軽くなったような気がした。


「わかりました…」青島はしっかりと答えた。「でも、焦らずに、自分らしく進んでいこうと思います。」


ジーパン刑事は満足げにうなずきながら、「それでこそ、青島だ! お前にはもっと自分のペースで頑張ってほしいんだ。恋愛だって、焦って決めるものじゃない。じっくり、タイミングを見てやれ!」と言いながら、軽く背中を叩いた。


その言葉に、青島は不思議な安心感を覚えた。ジーパン刑事が言う通り、焦らずに、少しずつ自分らしく進んでいくことが大切だと、心の中で再確認した。


「ありがとうございます、ジーパン刑事。」青島は素直に礼を言った。


ジーパン刑事はその後も何やら余計な話を続けながら、元気よくオフィスを後にした。青島はその背中を見送りながら、少し笑顔を浮かべて、再びデスクに向かうと、心に決めたことを確かめるように、作業を再開した。


「自分らしく、少しずつ…」青島は静かに心の中でつぶやき、前に進む決意を新たにした。


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