第29話 瑠奈の絶望と身勝手な復讐心
「そんな、私悟君に捨てられたの?」
今しがた悟君に告げられた別れの言葉を私は素直に受け取ることができなかった。
あんなに愛の言葉を告げてきたのにいきなり捨てられたの?
なんで、なんでいきなり。
「嘘だよ。そんなの絶対に嘘だ、」
信じられない。
いや、信じたくない。
私は悟君のことが好きだから空を振って悟君と付き合ったのに。
「私、騙されてたんだ、」
悟君は私を騙していた。
きっと今までささやいてくれた愛の言葉も全部嘘だったんだ。
それどころか私を使って悟君は空に嫌がらせまでしてた。
ずっとずっと私は騙されてたんだ。
それに気が付かずに私は、
「空に謝らないと。謝ってもう一回付き合わないと」
私は悟君に騙されてた被害者なんだからきっと空も許してくれるよね?
そうに違いない!
だって私たちは将来を誓い合った仲なんだから。
空はきっとあの女に洗脳されてるのよ!
そうじゃないと私にあんなことを言うわけがない。
あの女、絶対に許さない。
◇
「え?うちの娘が本当にそんなことをしたんですか??」
「大変申し上げにくいのですが事実です。彼が撮った写真や音声データ。録画といった証拠も見せてもらっています。必要であるのならこのデータを今お見せしましょうか?」
翌日私とお母さんは学校に呼び出されていた。
理由は空に対する虐めの件と私と悟君がラブホテルに入った件についてだった。
「お願いします」
私は何も言うことができないまま空が提出したであろう証拠データを見せられた。
「瑠奈、あなた私に嘘をついていたのね!空君に無理やり迫られたって、そういっていたじゃない!」
「、、、」
「何か言いなさいよ!無理やり迫るどころかあなたが浮気をしてるじゃないの!なんでこんなことしたのよ」
「ごめんなさい」
ちがう、悪いのは私じゃない。
悟君にはめられたんだ。
それで、空はあの女に洗脳されてるんだ。
だから、私が空を助けてあげないと。
「謝る相手は私じゃないでしょ!あんないい子を裏切って辛い目にまで合わせて。あなたをそんな子に育てた覚えはありません!!」
パチンと乾いた音が室内に響いた。
少し後に右頬に痛みが襲ってくる。
どうやらビンタされたらしい。
「お母さん暴力はだめです。落ち着いてください」
そんな母さんを先生は必死に止めていた。
今まで十数年一緒に過ごしてきたけど初めて見る本気で起こった表情だった。
怖い。
お母さんが怖い。
「すいません。少し取り乱しました」
「いえ、それで本題なのですが瑠奈さんには一週間の停学処分を受けてもらうことになりました。何か異論はありますでしょうか?」
「ありません」
「では、お話は以上となります。本日はご足労頂きありがとうございました」
「こちらこそ娘がご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」
◇
「瑠奈、私から言うことはもうありません。高校を卒業したら家から出て行きなさい」
「そんな!?ちょっと待ってよお母さん!」
家に帰ってすぐにお母さんからそう告げられる。
その声には以前のような愛情は込められていなくてただひたすら冷淡に作業をこなすかのようにそう告げてきた。
このままじゃわたしも家を追い出される。
そしたら本当に死んじゃう。
「待たないわ。あなたは救いようがないもの。あんなに優しい男の子を裏切って冤罪まで着せて居場所を奪って心は痛まなかったの?いえ、痛まなかったからそんなことができたのでしょうね。そんな子に育てた覚えはないしきっともう治らないのでしょうね。だから高校卒業したら二度と顔を見せないで」
お母さんはそれだけ言うと部屋に戻ってしまった。
どうして私がこんな目に遭わないといけないの?
おかしいよ。おかしい。
悪いのは私じゃない。
悟君とあの女が悪いんだ。
だから、あの女を殺さないと。
「ん?」
スマホが振動したから確認してみるとそこにはクラスのみんなから罵詈雑言が送られてきていた。
死ね消えろ浮気女。
最低最悪の裏切り者。
嘘つき。
などなど様々な悪口が送られてきていた。
なんで私がこんな目に遭わないといけないの。
あいつらが勝手に噂を信じて空を虐めて停学になったのになんで私のせいだって言われないといけないの?
完全に自業自得じゃん。
意味わかんない。
「それもこれもあの女のせい。許せない」
絶対に殺す。
なんとしてでも殺してやる。
でも、あの女は学校の日は空と一緒に登下校してるからタイミングが無い。
どうにかしてあの女が一人になる時間を作らないと。
「でも、もうクラスの連中は頼れないし。他に私が頼れる人間がいない。一体どうすれば、、、」
そもそもあの女はなんで空と一緒にいるんだ。
それも気に食わない。
やっぱり空を洗脳してるとしか考えられない。
「そうだ、私が自らあの女が一人になるように仕向ければいいんだ」
そうすれば何のじゃ間もなくあの女を殺すことができる。
どうやって殺してやろうか。
「ふふふっ、あははははははははは」
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