寒いね、と言い合いながら、二人で歩いたあの日。

 わたしはどんな格好をしていて。

 あなたはどんな格好をしていただろう。

 どんなにどんなに頭を捻っても。

 思い出せないのは何故だろう。


 いつの事なのかさえ分からないまま。

 わたしは部屋の窓を開ける。


 びゅぅ、と。

 ひどく冷たい風と、それに乗って雪がいくつか、部屋に入り込んできて。

 わたしの手のひらに乗った雪の結晶は、儚く消えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る