記憶集

ムスカリウサギ

 パチパチと音を立てて、煙が上がる。

 煙の根元には、赤く輝く炎が燃えて。

 周囲を飲み込んでは、煙を吐き出していく。


 わたしはただそれをじっと見ている。

 薄暗い、部屋の中で。

 そのたった一つの光源を頼りに。


 ――『Memories』。

 そう書かれてた表紙は、やがて、パチッ……弾ける音と共に消え失せて。

 暗闇に、溶けて行った。

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