第39話夏休みを前に息子との自転車教室

さと子が妊娠して、賢が幼稚園に入園して最初に迎えたGWは、そろそろ三輪車を卒業して、自転車に乗れたほうがいいと思って、幼児用の自転車を見に、近くの自転車屋さんに行って、色々と自転車に賢を乗せてみたり、色柄や運転のしやすさなどを考えて、黄緑色のキャラクター無の自転車を買って、早速いつものように賢を連れて、三輪車ではなく自転車の練習を開始。賢は三輪車は乗りこなしていたので、わりと自転車に乗り換えるのはすんなりと行った。たぶん賢にしてみれば、三輪車の延長線上みたいな感じだったのかもしれない。私は付きっ切りで自転車に乗って、注意して教えたのがブレーキのかけ方。危ないと思ったらブレーキをかけるように、何度も教えたのであるが、賢にとって、危険というのが理解できずに、止まるときは三輪車と同じように、足をついて自転車を止めていたので、ブレーキレバーを握らせて止めるように何度も教えたが、やはりなかなか最初はうまく行かなかった。

 そうこうしていたら、近所の子供たちがいつものように遊びにやってきて

「自転車に変えたんじゃ~」

と言っていたので、

「ウン、もう自転車にも乗れるようになったほうがいいからね」

といいながら、賢の練習を続けていると、

「おじちゃん変わって」

と言って、子供たちが三輪車のときと同じように賢に対して自転車の乗り方についてレクチャーしてくれた。私が近所の神社で賢をつれて練習をしていると、たいてい乗り方を教えてくれた子供たちが遊びに来ていて、子供たちのおかげで、賢も少しずつ、自転車の安全なブレーキのかけ方も身についていって、一ヶ月くらいすると、完全にマスターして

「僕こんなに上手に自転車に乗れるよ」

という感じで、楽しそうに自転車に乗って遊ぶ日が増えた。今、賢が安全に自転車に乗れるようになったのも、このとき、近所の子供たちが、賢の練習に付き合ってくれたおかげだと思う。やはり子供たちの「教える力」っていうのはすばらしいものがあるなって、実感した私である。

 やがて月日は流れて、6月の梅雨時を迎えて、夏休みの勤続10周年の休暇にどこに行くかの選考に入った私たちであった。

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