第30話慎重さの欠如: 事故の連続
さと子が事故ってから、しばらくは慎重な運転をするようになったのか、どこかに車をぶつけたということは聞かなかったのであるが、それもほんのつかの間。一ヶ月もたたないうちに、今度は車を出すときに、バックで車を出そうとしていて、となりの家との境にある壁に右のリアフェンダーをぶつけてへこませるという事故を発生させたさと子。その理由を聞くと、
「大家さんがとなりの人と話をしていてどいてくれないから、壁のほうに避けて通ろうとしたら、ぶつけた」
ということであった。
「大家さんがどかなかったのが悪い」
というので、私が
「お前、車を出す前に、大家さんがいるのを見たんじゃろうが。だったら車を出す前に一言声かけすればよかったんじゃないか?」
というと、
「あんなところに立っているのが悪い」
などというので、
「お前な、自動車学校で歩行者優先て言うのを習ったろ。人をひき殺しておいて、あんなところに立っているのが悪いといえるか?お前の考えが間違ってる」
と言っておいた。それでもさと子はまだ納得していない感じで、
「車を出そうとしているのがわかってるんじゃから、どけばいいのに」
などとぶつくさ文句を言ってたが、私も、もう取り合うのも面倒だったので放っておくことにした次第である。
問題は傷がついてへこんだフェンダーをどうするかであるが、
「私が修理に持っていったら、また事故やったんかと思われたくないから、今度は車を持っていってくれんか」
というので、
「前も言ったように自分でやったことの後始末は自分でやれ」
そう言って今回も私は一切取り合うことはしなかった。一ヶ月のうちに立て続けに2回も事故を起こすというのは、あまりにも注意力が散漫すぎる。もっと車の運転ということに対して慎重さを求めるのは、元嫁に対しては無駄なのかなぁ~そう思っていた私である。この事故で保険を使うとなると、またさらに保険料が高くなる。そう思うと、気が重たくなる私であった。そしてカーディーラーに車を持っていくと、案の定
「またですか?」
といわれたそうある。営業担当の人も呆れた感じだったのだろう。家に帰ってきたら
「またか」
といわれたといって腹を立てていたさと子であった。言われるのがいやだったら、もっと慎重に運転せえよ。そう思った私である。まぁ、誰も怪我とかしなかったのが不幸中の幸いということなのかもしれない。
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