第28話恐ろしい事故を回避するために
2000年ゴールデンウィーク期間中に三輪車をこぐ猛練習をした成果があって、ゴールデンウィークが終わる頃には息子も三輪車を自由自在に操れるようになっていった。これは私が賢に教えた影響もあると思うが、やはり一番大きかったのは、近所の子供たちが一生懸命手ほどきをしてくれたおかげだと思っている。それと、賢の頑張りがあってそれが実を結んだんだろうと思う。ただ、三輪車に乗れるようになったら乗れるようになったで、新たな心配事が。それは賢には、このとき道路に飛び出したら危ないという危険を感じる能力が充分に備わっていなかったので、急に飛び出す恐れがあったからである。なので、私は家から外に出るときは、会社でいつも行っているいったん停まって右・左・前を指差しながら声に出して安全確認をするということを徹底して教えた。このことはさと子にもきちんと何回もできるようになるまでやるように伝えておいたんですが、さと子は
「なんでそんなめんどくさい事せんといけんのん?あんたが教えればいいじゃん」
というので、
「子供の安全がかかっているのに、面倒くさいもへったくれもあるか」
と一喝して、やらせた。その成果も少しずつ出てきて、賢も家の前の道路に出るときや、そのほかの場所でも左右の安全確認ができるようになってきた。ただ、賢が三輪車に乗って遊ぶときは、三輪車にはブレーキがついていないので、下り坂になっているところでは遊ばせないようにしていた。やはり危険を伴うからである。そして賢にも車というのがぶつかって来たら怖いんだぞということを少しずつでもわかりやすく伝えていってたのであるが、今度はさと子のほうが事故を起こしてしまった。なんでも家の前の道は通学路で、道幅も狭く、制限速度は30キロに設定されているるのであるが、その制限速度を30キロほど上回る60キロほどのスピードを出して運転していて、カーブを曲がりきれずに電信柱にぶつかったというものである。幸い人的被害はなかったものの、その日は日曜日だったので、通学路の指定を受けているということは、いつどこから子供が飛び出してきてもおかしくないところなので、
「とにかくスピードを落とせ」
と繰り返し何度も注意していたのであるが、結局は自分が痛い目にあわないとどれだけ自分が家の前の細い道で危険な運転をしていたかわからなかったということだろうと思う。はっきり言って、賢より、元嫁のほうが危険を感知する能力がなかったのかもしれない。私は通学路を制限速度を大幅に上回る速度で運転するなんて恐ろしくてできない。
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