第24話被害妄想根性の影響
賢の誕生日会が終わって、しばらくは平穏な日々が続いて、
「こんな穏やかな日が毎日続いてくれたらいいのになぁ」
そう思っていた私であるが、現実はそう甘いものじゃなかった。5月は私の父と姪っ子が誕生月なので、一緒にまた誕生日会をやろうと言うことになって、ゴールデンウィークの子供の日に実家に集合することになった。私は父の誕生日祝いに何が言いかと思い、母に聞いてみると、
「日本酒がいいんじゃないか」
というので、近所のスーパーに出かけて吟醸酒を買って、実家に家族みんなで向むかった。さと子を誘うと必ず文句を言うというのは目に見えていたのであるが、誘わなかったら誘わなかったらで、文句をブーたれるので、それなら連れて行って美味しいもののひとつでも食わせておいたほうがまだマシだろうと思い連れて行くことにした。実家に着くと、母と姉が料理の準備をしており、台所で忙しくから揚げを揚げていたり、ポテトサラダを作ったり魚を三枚におろしたりしていた。そして料理ができたところで、みんな揃って誕生日会が始まり、父は私が贈った吟醸酒を美味しそうに少しずつ飲んで、姉夫婦はこれから暑くなるというので、夏服のプレゼントを受け取ってとてもご機嫌であった。そして、二人のバースデーケーキが登場し、両親と姉の家族4人と私たち3人みんなで美味しく頂いて、家に帰る道中、やっぱりさと子の口から出てきたのは文句。本当かどうか定かでないことにまで言及して、ものすごく嫌な気分になったのを覚えている。
「姪っ子を5月に生んだのは、あんたのお父さんと誕生月が一緒なので、忘れんようにしてもらうために誕生日が近いほうが得だからと考えたからじゃないか?あんたのお姉さんもセコイことするよね。それに今日のケーキだって親が出したんじゃないん?せこくてあくどいね。」
というので、私は
「そう断言するんじゃったら、俺が納得するだけの確かな証拠を出してみろ。それができたらお前の言うことが正しいと認めてやるよ」
そう言うと
「そんなのあるわけないけど、絶対そうに決まってる」
というので、被害妄想というか僻み根性の激しいこんなやつ相手に口げんかするのも疲れると思い、無視をしていると、
「なんで何も言い返してこんの?本当は当たってるから何もいえないんじゃないの?」
というので、怒りを通り越して、開いた口がふさがらないくらい呆れて、一言
「お前は本当に馬鹿か」
そう言い返してやると、おとなしく黙り込んださと子であった。賢のときといい、私の父や姪っ子の誕生日といい、なんで楽しいことを台無しにするようなことを言うのか、その当時の私には理解できなかった。その被害妄想根性がどのようにして彼女の性格に練りこまれていったか知ったのは、悠が生まれて幼稚園に通いだしてからであった。
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