第22話子供の成長と経験

引越しして、4ヶ月が過ぎて、賢が2歳の誕生日を迎えるに当たって、やはり私が気になっていたのが、賢の言語の発達の遅れともうひとつ、外で運動をいかにさせるかであった。さと子は周りの目が気になるらしく、なかなか外に連れ出そうとはしない。私は周りがどんな目で見ようが、なんと言おうが賢は賢・他の家の子は他の家の子と割り切っていたので、賢を外に出して遊ぶにもまったく気にしてなかったのであるが、毎日、日中も面倒を見ているさと子としては、賢の発達の遅れと周りの子供のことどうしても比べてしまうんだろうと思う。しかし、外に出て色んなものを見せて刺激を受けさせないとますます差が開くばかりと思った私は、私の姉から譲ってもらった三輪車を持って、賢を連れて天気のいい休みの日は近くの神社や公園に遊びに出かけることが多くなった。さすがに私が三輪車に乗ってこぎ方を教えるわけには行かないので、賢を三輪車に乗せてペダルに足をかけさせて、片手でハンドルを、そしてもう片方の手で息子の足とペダルを持ってこぐ練習をさせていた。時折近所の子供たちが遊びにやってきて、三輪車のこぎ方について手ほどきをして見せてくれたり、賢が三輪車に飽きたら、一緒に遊んでくれたり、少しずつではあるが、賢の回りにも年の近い子供たちが増えてきて、一緒に遊んでくれるようになりった。やはり子供は子供同士で遊ぶのが一番だと感じながら、私は子供たちが危ないことをしないように見ていることが多くなった。子供たちは子供たちなりに賢のことを自然に受け入れていてくれていたのかもしれない。そのことをさと子に話すと、

「じゃあ私も一緒に遊んでみてもええかねぇ」

というので、

「子供は子供同士で触れ合うのが一番。もっと積極的に外に出ないとだめだ」

と言って、周りの視線を気にしないように言っておいたんですが、はじめは私みたいになかなか馴染めなかったようです。

「なんであんたは子供とそんなに気軽に話が出きるン?」

とある夕食の最中に聞いてくるので、

「俺は子供だからって特別扱いはしてない。自分が小さかった頃に大人にしてもらってうれしかったことをそのまましてるだけ。お前は知らず知らずのうちに、子供と自分の間に壁を作っているんじゃないか?」

そう言うと、

「確かにそうかも知れん」

と言っていた。子供というのは無邪気である。してもらってうれしかったことは素直に喜ぶし、それが周りのみんなに賢を受け入れてもらうためには大切だと言うことは、私の幼少の頃の経験からよく分っていたことである。

 それから少しずつではあるが、さと子も賢を連れて外に出て遊ぶことが増えていきった。ただ、まだ三月というとかなり寒い日もあるので、賢に風邪を引かせてしまった私たちであった。

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