第15話2000年問題
やがて引っ越しから少し時間が流れて、1999年も押し迫ってきたころ、盛んに言われていたのが、2000年問題。コンピューターが2000年を認識できずに西暦1900年と認識して誤作動を起こすのではないかと言われていた問題であるが、私が勤めていた工場のパソコンも、西暦で99年表示だったパソコンが数多くあり、パソコンを更新する際に1999年表示のパソコンに切り替えられてはいたが、それでも万が一誤作動や動作不良がおこる可能性が考えられるため、オペレーターは大晦日から元旦にかけて泊まり込みで動作確認や、不具合が発生しないか確認するようにとの通達が出され、オペレーターは
「連休もくそもあったもんじゃない」
なんてぶつぶつ言っていたのが聞こえてきた。長期連休のど真ん中で会社に出勤しなければならないっていうのは、帰省するにも、どこかに出かけるのも実に不都合だったらしく、オペレーターのメンバーは帰省とか行楽出かけられなかったようである。
一方で私たちは、連休は元旦に熊毛の実家に帰省して、熊毛の両親と私の両親に賢を会わせて、元日の夜に帰宅。本当ならもう二日くらい泊まってもよかったのであるが、さと子がまた何を言い出すかわからないので、元日の夜に帰った次第である。
翌日はさと子の実家に行って、、一人で暮らしているおじいさんにも顔を会わせてきて、一泊することにしたのであるが、その日の夜、さと子がまたぐちぐち文句を言い出した。元日の夜は、姉夫婦と私の両親は熊毛の家に泊まることになっていて、「熊毛の家に泊まれなかったのは、私の両親や姉夫婦が熊毛の家に泊まって、楽したいからだ。あんたの両親は障害のある賢ことが可愛くないから、私たちが追い出そうとしたんよ」
などと言い出して、私も正月早々喧嘩したくないし、早く寝たかったので、聞き流していたのであるが、しまいには
「あんな親も姉もいらん。さっさと死んでしまえばいいのに。本当あんたの親も姉もやることが意地汚いね」
などと、私の親や姉のことまでぼろくそに言い出したので、とうとう私もブチ切れて、
「黙って聞いてりゃ好き勝手なこと言いやがって。いい加減にしろよ」
などと怒鳴ると、
「またそうやって私が全部悪いっていうんやろ?」
などと言い出すので、不毛の喧嘩がまた始まって、私も完全にキレたので、隣近所に聞こえるくらいの怒鳴り声をあげて、結局はほとんど寝られないまま夜は明けていった。そして翌朝は、私はほとんどさと子とは話もしないまま車を運転して家に帰った。帰ってからも私がほとんど口を利かないので、さすがにやばいと思ったのか、さと子が謝ってきたが、どうせまた口先だけなんだろうと思ったので、私はさと子を無視したまま連休が終わった。
連休が明けて仕事に出勤すると、オペレーターがパソコンをしきりに確認していた。なんでも、動作確認はしたのであるが、2000年の最初の稼働であり、実際に動かさないと何が起こるのかわからないといった不安があったようで、稼働時間を迎えて何事もなく一日が終わったので、終業時間になるとようやくオペレーターはほっとした顔を浮かべていた。やはり日ごろからのシステム管理っていうのが大事なんだなと実感した私である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます