第13話引っ越し
1999年10月末、私たちは結婚したあと1年7か月余り過ごしたアパートを出て、会社の近くの借家に引っ越した。トラックをレンタカーで借りて、大型免許を持つ熊毛の父に運転を頼んで、荷物を積み込んで、エアコンは知り合いの電気工事技師のおじさんに任せて、すべてを積み込んで、母と姉が引っ越し荷物を積み込んだ後の掃除や、食事の手伝いにやってきてくれた。そして、大家さんにも挨拶を済ませて、今度はトラックからの荷物を降ろす作業。家具やテレビなどは男連中で家の中に運び込んで、衣類や賢のものなどを女性に運んでもらって、15時ごろ荷物の運び込みが終わって、熊毛の父と一緒にトラックを返しに行って、夕食で私が出前を取った。みんなが手伝ってくれたおかげで、思ったよりも早く片付いて、その日はみんなで疲れを落としに温泉に入りに行った。温泉につかりながら、私の父が
「今度は何かあってもすぐに駆け付けることができんようになるから、さと子が何言ってきても、絶対短気を起こすんじゃないぞ。あんな奴のためにおまえが人生を狂わせるようなことがあったら、目もあてられんからな」
「うん。ありがとう。もし何かあったら、その時はあいつをおいて家を出るわ」
そんな話をしながら温泉を出た。父としては、何か事が起きてしまわないか、それだけが心配だったようである。それからその日は実家で寝て、翌日、引っ越し先の借家に向かった私である。
引っ越しが終わって、夕方からは新居のまわりのかたがたへあいさつ回り。借家の裏手に住む大家さんの案内で、近所の家を案内してもらって、あいさつ回りが終わって、すべての用事が片付いたのが夜。賢を実家に預けているので、迎えに行くと母がやはり心配をしていた。そう、さと子のことであるが、はたして隣近所とうまくやっていけるのかどうかということを心配していたのであるが、まさか私も隣近所とはトラブルを起こすようなことはしないだろうと思っていたので
「あいつもいくら何でもそこまで馬鹿な真似はしないだろうと思うよ」
と話していた。母も
「そうじゃったらいいんじゃけどね」
と漏らしていた。私も母の心配が杞憂に終わってくれればいいと思っていたが、その心配事が後々現実のものとなる。
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