第3話 おでこからハンドルに突っ込んで?

転勤になって3か月が経過。


モナカは工場業務や勤務のシフト、そしてクルマの運転にもすっかり慣れて、運転自体が苦にならないどころが楽しくなってきたので、夜勤の日だけでなく常勤の日も祖父のクルマを借りるようになっていた。


モナカの祖父は秋に77歳、喜寿となるし、夜は目がよく見えないことで運転する機会は減っていたので車を借りることに支障はなかった。しかし、通勤にクルマを借り始めて早々にエアバッグを作動させてしまい交換費用が高くついたらしかったが、ボディなどほかの部分の損傷がなかったことを不思議顔する祖父。


「急ブレーキと同時におでこからハンドルに突っ込んでしまった」という弁明を祖父が信じたのかどうかはともかく、クルマよりなによりモナカにケガがなかったことに安堵していた。


秋になった。


祖父がめでたく喜寿となったが、目の手術をしなければならなくなったことを機会に運転免許証を返納すると言う。


家族で喜寿のお祝いした席で祖父はモナカにクルマを譲ってくれると言ってくれた。

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