第2話 トンネルの中で消えた…
祖父から聞いたことがあった。
トンネルの中はレーダー式の速度違反摘発、いわゆるネズミ捕りは無いから覆面パトカーを追い抜かない限り大丈夫だということを。
速度を上げる追い越し車線はまだフリーだったし、気が付いたかどうかは定かではないが走行車線に戻ってくれる先行車のおかげで速度は140キロに達しようとしていたら、はるか前方だが大型トラックが追い越し車線に入ってきて、その速度が遅いのかみるみる近づいてくる。アクセルを緩めようという意識より先に速度計表示は140キロを超えて141を表示。
もうブレーキを踏まないと危ないーーとモナカの脳が右足の筋肉に指令する前にトンネル内の照明もモナカの運転するクルマのヘッドライトも消えてしまい、暗闇に前方の大型トラックの赤いテールランプが大きく迫ってきた。
モナカは全力でブレーキを踏んだが、間に合わないタイミングで目をつぶってしまった。
ガクンッ
追突してしまったのか、目の前は暗いし、息苦しい。エアバッグに守られて意識はあるようだが、追突したにしては衝撃は少ないし、恐る恐る目を開くと速度計は100キロを表示したまま、まだ追い越し車線を走っているではないか。
長いトンネルからは抜けているし、追突したと思った大型トラックも姿を消している。
なにがなんだかわからなかったが、とにかく夜勤には遅刻せずに済んだモナカだった。
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