QUARK STAR

USAのらきち

第1話 借りたクルマで高速かっ飛ばす

通勤に要るから、しかたなく自動車の運転免許を取得した。


男子が大半の工業高校を卒業して、自動車部品工場に就職して三年。高校よりも近い勤務先を喜んでいたのに、4年目の春から空港そばの本社に転勤になった。


地方の郊外にありがちな空港そばの工場は24時間生産体制、夜勤もあるので通勤はクルマに限られる。


モナカは考えた。


いま運転の練習に使わせてもらっている祖父のクルマを夜勤の日だけ借りよう。


祖父は快諾してくれた。


運転に慣れた頃、夜勤の日の昼にテレビを観ながら寝落ちしてしまった。


通門完了時刻まであと30分間を切っていたので高速道路をぶっ飛ばした。


クルマが趣味の祖父はスポーツタイプの1500㏄+モーター付き、幸いAT車だったのでモナカにも運転できたし、アクセルを踏み込めばスピードも出た。


日曜日の午後の高速道路はドライブのクルマと大型トラックが入り混じって追い越し車線がなかなかフリーにならない。


通門完了時刻まであと15分、このままだと完全に遅刻…、というタイミングで追い越し車線をふさいでいた大型トラックが走行車線に戻ると、一気に追い越し車線がフリーにひらけた。


アクセルを踏み込む。


70キロほどだった速度はたちまち100キロを超えた。


そしてトンネルに吸い込まれるように突入、速度計表示は130キロを超えた。

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