鬼を飼う。
柊
零
その日、血の匂いと鬼の毒気が屋敷中に充満していた。
鬼が
茜色の夕焼けが部屋に差し込み始めた頃。部屋の襖をどんどんと荒々しく叩く音がした。誰か様子を見にきたのだろうか。下女にしては荒っぽいと感じながらも、少女は何気なく襖を開いた。
その瞬間。
屋敷中に充満していた毒気が一層濃くなり、血の匂いが少女鼻を埋めた。
黒。そう、ずんぐりと禍々しいほどの黒が、少女の部屋の前で山となって佇んで見下ろしていたのだ。少女は突然の事に驚きながらも、そろりと目線を上げる。頭には角、少女が見上げた先には赫赫と紅い目。黒の中をじいっと目を凝らせば、血に染まった口と牙の姿が。黒い身体を下へとなぞっていけば、両腕の先にある大きな手には血に塗れた手と鋭い爪が。まだ、新鮮な血肉でも喰らったかのように、ぽたり――ぽたり――と血が滴り落ちて廊下を汚していた。
絵も言われぬ禍々しい姿を見て、少女はこれが
これが、
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