第四話.お嬢様と魔法学園①
ついにアース王国に着いた。この街はメデ山脈の近くにある大きな王国で代々アース王たちが治めてきた強大な軍事力を持つ王国だ。
アース王国は亜人差別が唯一禁じられているこの世界では珍しい国だそうだ。
僕たちが乗る馬車が突然止まった。
どうやら門の前で確認作業をしてるらしい。
僕は耳を壁にくっつけて会話を盗み聞きした。
「そこにいる謎の気配の者は誰だ。怪しい者は通せないぞ」
僕のことだろうか。それにしても気配を瞬時に察知できるとは凄い腕前の者なのだろう。
兵士はおっさんが馬車から降りて説明してほしいと言われ事情を話すために馬車から降りていった。兵士たちはおっさんと話すと突然態度を変え始めた。
「無礼な態度をお許しください。ハイリンシュ様」
ハイリンシュはおっさんの名前なのだろうか。それにしてもおっさんは兵士たちを怖がらせるくらい権力がある者なのか。おっさん凄いじゃん。
兵士たちは門を開ける。
おっさんは馬車に再度乗った。
門はゆっくりとゆっくりと開いていく。
そしてアース王国の門が開いた瞬間に窓のカーテンの隙間から街の景観を見た。僕はこの世界に来て初めて人々が住む大きな街を見た。それはとてもキラキラと星のように輝いている美しい街並みで僕はその美しさに一目惚れをした。
それからしばらく街の景観を見ていると重要なことを思い出した。ハイリンシュというのが何かお嬢様に聞かなければいけない。
「ねぇ、お嬢様。ハイリンシュって何?」
「お嬢様じゃなくてローナ•ハイリンシュって呼んで!」
お嬢様、いやローナは頬を少し膨らませて怒っている。やはりハイリンシュは名字なのだろう。
「わかった、ごめんねローナ。それでハイリンシュって何?」
「レイナ、ハイリンシュはアース王国の公爵家で八氏族の一つよ。特に私たちの家である本家のハイリンシュ家は王国の重要な役職に就き続けて分家はアース王立軍の最重要役職に何人も就いてるくらい名門の家なのよ」
そんなにこのお嬢様とおっさんって凄かったんだな。僕は逆に怖くなってきた。なぜこんな凄い家の人がこんな僕に優しく接してくれるのだろうか。
すると馬車がまた止まった。
また何かあったのかなと僕は心配した。
だが突然おっさんは僕に一つ質問を投げてきた。
「レイナ君はこれから行く先はあるのかい?」
突然なんだ。と思っておっさんの顔を見た。その顔はとても真剣な顔をしていて何を考えているのかわからない顔をしていた。
その顔を見た僕はとても怖かった。僕を使っておっさんは何かするつもりなのだろうか。
「いいえ、僕はこれから一人で暮らしていこうと思っています。突然なんですか?」
僕は緊張してしまい早口になってしまった。おっさんは真剣な顔で僕を見て言った。
「君。魔法学校に入学しないかい?もちろんテストは受けてもらうけどね」
───え?
第四話.お嬢様と魔法学園①END
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