第二話.本当の敵は①
あれからどれ程の時間が経ったのだろうか。僕は一人で洞窟に籠もっている。寒さを耐えて少しでも寂しさを消すために凛のことを考えている。
なんだか眠くなってきた。
僕はずっと深い眠りについていない。
寂しくて悲しくて一人が怖くて誰か助けて。
気づけば目をつぶっていた。
僕は今ぷかぷかと水の中を浮かんでいる。周りは花のような優しい匂いがして心地よい。僕は目をつぶって久しぶりにリラックスしていた。
その時、僕の近くで足音が突然聞こえる。
足音のなる方を見てみるとそこには凛の姿があった。凛は僕を見つめてこう言った……
「怜くん!ここで立ち止まらないで。貴方なら私がいなくても上手くやっていける。頑張って」
凛がそう言うと辺り一面が黒一色になり僕は闇の中へと行く凛を追いかけた。追いかけても追いかけても凛は遠くへ行ってしまう。僕は必死に叫んだ。
───アアアァァァァァァ……
夢なのか……凛が僕に対して励ますような夢を少しだけ見た。
……私がいなくてもか。
凛、あいつは今どうしてるのかな。
今の姿を凛が見たらきっと笑うだろう。
そう考えると僕は心が楽になった気がする。
失望させたくない。僕は凛がいなくても自立できるんだ。僕は一人で頑張ると決心したんだ。今から僕は必死に生きて生きて頑張ってやる。
今の僕には誰も止めれない。
体から力がみなぎってくる。
そして脳がじわじわと熱くなる感覚が来た。
個体名スモールウルフが進化可能となりました。進化先を選んでください。
メデオウルフ(魔法重視)
メデラウルフ(速さ、攻め重視)
僕は脳に響く謎の声を再び聞いた。なぜ僕は戦ってもいないのにLvも上がっていないのに進化するのだろうか。ふと疑問に思ったが気にせず進化しようと思った。
頭の中でメデオウルフになると宣言した瞬間、僕は激しいめまいと頭痛に襲われて倒れてしまった。
目を覚ますと夜になっていた。進化する前の時点では朝だったので半日くらい倒れていたのだろうか。僕は立ちあがろうとしたその瞬間、僕は二足歩行で立っていたのだ。
「四足歩行から二足歩行になってるんだけど!」
あまりの驚きに思わず声に出して叫んでしまった。狼族の進化は人族に近づく進化なのかと疑問に思う点もあったが気にせずに山に下山する準備をした。
まず、長旅に備えて外で死んでいた獣の肉を解体して保管することに決めた。
まず最初に僕の牙で肉を切り裂いて食べやすいサイズにする事にした。しかし、この肉は本当に食べてもよい肉なのだろうか。
食べて毒状態にならないか心配になったが食糧が増えるのならそれでよいと肉を切り裂いて保管した。保管する際に使用するものがこの間のゴブリン達が落としていったぼろぼろのバックだ。ぼろぼろで今にも壊れそうだけど使えるならそれで良い。
食糧の準備を終えて十分な睡眠を取った僕は今からこの雪山を下山する。
僕は一人でも大丈夫。
誰にも依存しない。
本当の敵は自分の心の弱さだ。
この心の弱さを少しでも強くするために僕は今立ち上がるんだ。
第二話.本当の敵は①END
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