第2話二度目のレンタル彼氏
「ありがとう。また僕をレンタルしてくれて。」
フウがゆうに微笑んでお礼を言った。
フウの周りがキラキラ輝いて見える。
ーフウの笑顔って本当にステキ。ー
「僕もケイにまた会えて、嬉しいな。」
気狐はケイにそう言って、自然に肩に手を回した。
ケイはちょっと緊張しながら、それでも嬉しいのを隠さないで、気狐に向かって微笑んでいる。
ー近くで見る気狐って凄く上品で、綺麗な顔立ちしてる。まつ毛が長い。ー
「今日はダブルデートじゃあなくていいんだよね。」
「ええ、別行動でお願いします。」
「じゃあ、ケイ。何処か行きたいところってある?。」
「気狐のお気に入りの場所に連れて行ってくれたら嬉しいな。」
「ゆうは何処に行きたい?。」
「フウとゆっくりお話し出来るところがいいかな?。」
ゆうはフウの側にいるだけで、女性ホルモンがドバドバ出てくる気がしてしまう。
ーフウってちょっとワイルドっぽいけど、優しいんだよね。ー
二組のカップルは
「じゃあね。」
と、手を振って別々の方向に歩き出していく。
気狐がゆうを連れてきたのは動物園。
「僕、動物が好きで動物病院の経営をしてるんだ。」
「私も動物好きです。猫を3匹飼っていて。時々イタズラするけど、可愛くて。癒されますよね。」
「そうだよね。動物を撫でていると、ストレスなくなるよね。でも退屈じゃない?。動物園なんて。」
「ううん、そんな事ないよ。私、大人になってからも動物園来てますよ。」
「そう?。嬉しいな。ゆうが動物好きで。」
「動物の動画とか観ます?。」
「うん、観る。癒されるよね。」
「今度おすすめ動画教えますね。」
「じゃあ、連絡先交換しようか?。」
「え?、良いんですか?。個人情報なのに。」
「ゆうとはレンタルじゃない彼氏になりたいからね。」
「本気に?。嬉しい。私もそう思っていたの。」
「ゆうって、モフモフすきだよね。」
「もちろん。」
「これは二人だけのヒミツ。」
気狐は尻尾をあらわして、自分のフサフサの尻尾をゆうに触らせた。
「モフモフ、気持ち良い。」
ー私、今日死んでもいいくらい。凄く幸せ。ー
フウは港にゆうを連れてきた。
港には沢山の船が停泊していた。
「ここだよ。」
「コレ、ヨットだよね。」
「うん、僕のヨット。さあ、手を貸して。」
フウはゆうの手を取りヨットに乗船するのを手伝った。
ーなにこれ。貴族?。カッコ良すぎるんですけど。ー
「そこに座って。」
フウはゆうを船内の椅子に座らせて、飲み物を手渡した。
「二度目のデートに乾杯。ノンアルだけどね。」
ーゆうはもう既にフウの魅力に酔っていた。ー
「ううん、お酒強いほうじゃ無いからちょうどいい。フウはお酒強いの?。」
「うん、でも、毎日は飲まない。時々、気分で。」
「ステキなヨットね。内装も豪華。」
「風力発電の会社を経営してるから、生活には困らないかな。」
「フウって、モテるでしょ?。お金もあるのに、どうして妖怪レンタル彼氏の仕事もしてるの?。」
「結婚相手を探してるんだ。」
「そうなの?。」
「だから、僕と本気で付き合って欲しい。もう、レンタルなんか嫌だ。」
「本当に?。夢みたい。」
「本気だよ。連絡先を交換しよう。いつでも会えるように。」
ー最高。私、尊死しそう。ー
フウが自分のヨットの帆に風を当てたので、ヨットは水平線まで飛ぶように移動して行った。
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