第35話 根っからの殺し屋
一騒動が終わり、ウール、バシリスク、マニーシャの暗殺組織の話は一瞬でコミュニティ中の噂になる。
この事に最も驚いたのが、グラシリアとスタンプであった。
「や、やばいっすね。あの人たち、普通じゃないとは思っていたけど…」
いまだに寝転がっている
「う、うむ…ディアボロ騒動で、すっかり
「あ、あの人たち、なんかNo.4 とNo.6より全然強くないっすか。強い順の番号じゃないんすかね…」
「ああ、凄まじい動きをしていたな。目の前で見たが、とてもじゃないがレベルが違った……ところで、なんで遠くからしか見ないんだ?興味があるなら顔を見にいけばいいじゃないか。みんなそうしているみたいだぞ。」
コミュニティの人間にとって暗殺組織なんていう都市伝説級の話は物珍しく、モノ好きたちがウールたちを見に行ったりしていた。
「ええ〜、顔覚えられたら嫌じゃないっすか。私、無関係なんで。」
すでに過去に
「ところでグラシリア所長、まだ動けないんすか?」
「ああ、痛みは大分引いたが、まだ動くと痺れが酷いな。こんなヤバイ薬があるとは…市販の神経剤とは比べ物にならない効果だ。武器も半端なく所持していたな。まあ、ほとんど使い切ってしまったがな。」
「うへー、流石に暗殺組織って事っすね。でもまた似たようなのが入ってきたらヤバくないですか。そろそろミズナ姉さんに頼んで第一区に戻して欲しいっすね〜。」
「お前はゾアン語の翻訳プログラム作成が残っているだろう。それが終わってからだ。それに、グレースの話だと、今のところ、周りに似たような反応は無いって言ってるぞ。」
「…だといいんすけどね。なんでグレースは特定の生き物だけ交流できるんですかね。何か共通点があるんですかね。」
スタンプの何気ない疑問…
確かに、なぜグレースは一定の生物の事だけ注意を向けられるのだろうか?
グラシリアも、少し不思議に思い始めていた。
⭐︎⭐︎⭐︎
ディアボロ討伐後、ハルモニアのある場所で、とある生物から光が発せられていた。
【被験番号37 登録名「無限増殖」反応消失………
波長ログ解析……結果 戦闘による死
想定脅威レベル……4
強制排除対象認定
40番台の覚醒要請開始
被験番号40覚醒要請…反応なし
被験番号41覚醒要請…覚醒可能
被験番号42覚醒要請…反応なし
被験番号43覚醒要請…反応なし
被験番号44覚醒要請…反応なし
被験番号45覚醒要請…反応なし
被験番号46覚醒要請…反応なし
被験番号47覚醒要請…反応なし
被験番号48覚醒要請…覚醒可能
被験番号49覚醒要請…反応なし
強制排除遂行率 95%
現地到達までの推定時間…2ヶ月 実行】
⭐︎⭐︎⭐︎
捉えられたゴーストは手を後ろで縛られ、座った状態で柱に括り付けられて拘束された。
サンティティとグレースが近づいていく。
「スティーブンソン、まさか君が『ゴースト』だったなんて…」
「今まで全く足取りを掴ませなかったのに、急に出てきてビックリしたわ。」
スティーブンソンは第四区でサンティティの助手の1人だった。
大人しい性格で、喋り口調も
「サンティティ…なぜ止めたんだ?君にはあいつらを恨むのに十分な理由はあったはずだ。」
サンティティはゴーストの言い分は痛いほど分かっていた。正直、今すぐにでも父親の仇を討ちに行きたいぐらいだ…しかし、彼らが必死になって戦って自分らを守ってくれたことも事実。
サンティティには、迷いがあった。
「…サンティティから事情は聞いたわ。そんなことがあったなんて。施設で育ったとしか聞いていなかったから…」
「ごめんね…君の病気のこととか、これまでの事でいっぱいで…それに、あまり自分の過去のことを話したくなかったんだ。父さんの事も、思い出すのが辛くて…」
「それなら、なんで奴らを殺しに行かない?僕は奴らを許すことなんてできない。僕の大切な人を奪ったあいつらを。ディアボロ討伐の英雄とか言われているけど、あいつらだって自分が生き延びたいから戦ったんだろ?別に良いことをしようと思っていたわけじゃない。」
ゴーストがサンティティに問う。
「確かにそうかもしれない…けど、結果的に僕らは助かっている。」
そしてサンティティはグレースを見る。
(それに、大切な人が守られた…)
「自分が助かりたかったからだろう!いいか、あいつらはそんなロクなもんじゃない。言動を見れば分かるだろう?それに、僕を見殺しにする気か?あいつらは元気になったら僕を殺しにくるぞ。決まってる!あいつらは、根っからの殺し屋なんだ。」
グレースとサンティティは困った表情で互いの顔を見合わせた。
第36話「私が話します」へと続く。
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