第28話 討伐準備
ミズナはウールを下ろした後、すぐにマリーたちの元へ向かい、疲弊している者から順に行ったり来たりして皆を合流地まで送り届けた。
ディアボロが第五区に入り込んでくる頃には、なんとか全員を合流地まで連れてくることができたが、ディアボロは第四区の残ってた人々をほぼ全滅させて来たらしい。
そのサイズは、ウールが懸念した通り、高さ100m、横幅は実に400m以上はあると思われた。
もはや、動く要塞である…
⭐︎⭐︎⭐︎
「今、エリア26まで入ってきました。そのままゆっくりとですが、真っ直ぐこちらに向かっています。ディアボロは人間を感知できる能力があるのか、人の多い場所へと向かうようです。」
グレースが討伐作戦緊急会議の席で語る。
「どのぐらいの猶予があると見ていい?」
ウールは腕を組み、壁に背をもたれている。
「恐らくは、あと2〜3時間ほどでここに到着するかと…」
「…そうか、仕方がない。おい、武器庫へ行くぞ。」
ウールの提案に、マニーシャとバシリスクは良い顔をしなかった。
「旦那、あそこは俺たちの…」
「あの化け物を見たが、総力戦で望まないと勝ち目は無いだろう。武器を節約している余裕はない。おい、各グループは、戦える者をできるだけ集めるんだ。戦えない奴は呼ぶな。吸収されて終わりだ。15分後に表で待ち合わせだ、いいな。先ずは武器と戦闘員の数を統合して、それから作戦を立てよう。」
マニーシャとバシリスクは渋々応じた。
武器庫とは…?
普通の連中ではないと皆が薄々気づいてはいたが、このオムニ・ジェネシスで武器庫を保有しているのは異常すぎるように思えた。
しかし、この切羽詰まった状況においては、誰もこのことは詮索しなかった。
そして、15分後、総勢35人の戦闘員からなる隊が出来上がる。
第六区からは、ウール、マニーシャ、バシリスク、そしてこのコミュニティの護衛、合わせて23人。第四区からは、マグワイア、マリー、グラシリア、ウィンストン、ノア、ミカヅチとそのチーム6人、合わせて12人。
ノアは家族にもコミュニティの人間にも反対されたが、ガンとして譲らなかった。そして、サンティティが参加することも許さなかった。
ウールを先頭に、ライフエネルギー研究施設の隣の建物にあるという武器庫へと案内される。
中は寂れた感じの建物だったが、各部屋には窓がなく密閉されている印象だった。
(数ある武器庫の中で、この時代遅れの武器を集めた武器庫が残っていたのが不幸中の幸いだったな。)
こう考えていたウールが頑丈そうな扉を開けると、広い部屋に武器がびっしりと敷き詰めてあった。
皆が呆気に取られる。ほんと、この人たち、一体何者?
「チ、不時着の時に落ちたか。」
多くの床に転がっている武器を拾いながら、ウールが武器の点検をする。
「…恐らくだが、小型銃の類はあいつには効かないだろう。持っていくのは、こういうのだな。」
ウールが部屋の奥の方から大きなバズーカ砲を取り出してくる。
「旧型だ。もはや使い道がないと思っていたが、まさかここで役に立つとはな…」
その後、ナパーム弾、手榴弾、C4などの時限爆弾や誘導爆弾などが次々と持ち出された。
「ッチ、これは使えねえか。」
第一世代のレーザー砲をカチャカチャ動かしながら、ウールが舌打ちをする。
「ちょっと見せて!」
何かの役に立てるかもと、ミズナもついてきていた。
「…これなら、直せるかもよ。バッテリーも一応充電されているみたいだけど、残量から考えると、二発ぐらいは打てるかも。」
「…そうか、こいつが使えれば、心強いんだがな。直せるなら、頼む。」
「任せて!」
ミズナは疲弊して倒れていたスタンプを叩き起こし、レーザー砲の修理を始める。
もっとも、スタンプはグラシリアの自転車の後ろに乗っていただけなのだが。
「これで武器は揃った。それから、これだ。」
ウールは錠剤のケースを取り出す。
マニーシャはそれを見た瞬間、舌打ちをしてから、大きなため息をつく。
「マニーシャ、お前がこの薬を気に入らないのはわかっているが…」
「はいはい、言いたいことは分かっていますよ…でもやっぱり、気が乗らないねえ。」
そういうと、ウールから一つ受け取る。
「この錠剤は、神経強化剤と筋肉強化剤を合わせたドラッグだ。身体能力を一時的に、飛躍的に高める効果がある。飲むのは一錠。飲んでから10分ほどで、効果の持続時間は、個人差があるが、三時間ほどだ。先に言っておくが、効果が切れると段々と体が動かなくなる。そして身体が麻痺し、その状態が丸々3日ほど続くと見て良いだろう。」
皆が唾を飲み込む。
しかし、異論を挟む者はいなかった。
持てるリソースの全てを注ぎ込まなければ、ディアボロ討伐は叶わないことを、皆がよく分かっていた。
第29話「ディアボロ討伐①」へと続く。
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