第12話 《side來夢》來夢の夢
昼食を終えた
服の代金と共に救世主の
それはチラシだ。
質の良い紙なんて滅多に手に入らないというのに、良質な紙に文字が刻まれている。
「Assort
全
「私でも勧誘されちゃうんだなぁ」
素直な感想。
実力はおそらく、同世代なら高い方。
とはいえ
「……」
チラシを見て、ため息。
確かに、Assortで訓練を積んで救世主を近くからサポートするのは魅力的な提案だ。
きっと、将来は約束された物になる。
この村よりも
(でも、おじいちゃんを置いていけない)
余計な人を置いておく余裕は
窓の外を見て、
『いつでも良いよ。気が向いたらおいで。僕の紹介って言ったら受け入れてもらえるから』
ピンクの髪の救世主。
噂を聞いた事が有る。遊び人に見えるが、実力は確かでAssortの中では一、二を争う実力を有していると。
微笑みながら話をする彼の、水色の瞳はとても優しくて綺麗だった。
確かに、いきなり話しかけてきた時は噂通りの遊び人だなんて思ったりもしたけれど。
(Assortに行けば、役に立てるのかな)
それに、新任の指揮官も良い人そうだった。
青髪の救世主も、楽しそうだった。
「大人になったら……行ってみようかな」
口にはそう出すが、本心では、祖父が死んだ後の事として考えている
胸がツキりと痛んだ。
「……頑張ろう」
受け入れてもらった後で、やっぱり役に立たないなんて思われたら
何か衣装を作ってみようかな、と材料を取りに立ち上がった時――
「魚神が出たぞーッ!」
緊急事態を報せる鐘の音と共に、そんな声が聞こえてきた。
――――――――――
パチ、パチ……パキッ――
熱い。
木の燃える音がする。
体が痛くて動かない。
意識を失っていたらしい。
瞼が重い。
(何が起きたんだっけ……)
が、思うように頭が動かない。
(確か、魚神が現れて)
気を抜けばすぐに意識を失いそうだ。
(燃える魚神が火事を起こして……)
そうだ、思い出してきた。
(おじいちゃんと逃げなきゃって――)
「おじいちゃん! ゴホッ」
祖父の事を思い出した途端クリアになる思考。
瞼を開けて、当たりを見渡す。
周囲に祖父の姿は無い。
そもそもここはどこだ?
(あそこにタンスが見える……から、居間かな)
タンスの傍に見覚えの無い何かが落ちているが、おそらく焼け落ちた家具の一部なのだろう。
だとすると、祖父はあの辺に――
居るはず、と目を凝らした事を、
落ちている見覚えの無いナニカ。
それは、祖父だった。
言葉を失った
熱い。
肉の焼ける匂いがする。
体が痛くて動かない。
瞼が、重い。
炎の勢いは止まらず、
『
亡き父の声が聞こえた。
『
祖父の声がする。
『
遠い日の、自分の夢が、聞こえる。
パチ、パチ……パキッ――
――――――
――――
――
「お父さん! おじいちゃん! 聞いて! 私ね、Assortに誘われたんだよ!」
「えへへ、それで……あれ? その人は?」
見覚えの無い女性の姿を見て、首を傾げる。
が、じっくり観察して分かった。
「お母さん?」
祖父たちから聞かされる、母の姿とそっくりだ。
母は優しく微笑んで、手を広げる。
恐る恐ると飛び込んだ母の腕の中は、暖かかった。
パチ、パチ……パキッ――
パチ、パチ……
――――check point――――――
救世主や、関係者を集めて管理、適時指示やサポートを行う組織。
各
――――――――――――NEXT――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます