1作目:鷲獅子王と戦姫の殺し愛婚姻譚
タイトル :鷲獅子王と戦姫の殺し愛婚姻譚
キャッチコピー:選べ。おれと婚約するか、このまま全人類諸共死ぬか
著者 :根占 桐守(鹿山)様
https://kakuyomu.jp/works/16818093080867930333
○はじめに
1作品目になります。気合いを入れて読ませていただきます。
あくまでも個人的な感想です。
※1万文字まで読むという本企画の規定に則り、読んだのはプロローグ~第3話の途中までになります。
○タイトルについて
こちらの不勉強といわれればそれまでなのですが、『鷲獅子』という漢字が読めませんでした。作中の固有名詞かとおもいつつ、一応検索したところグリフォンのことなんですね。
勉強にはなりましたが、この漢字どれだけの読者が読めるんでしょうか。
かっこいいのでタイトルとしてはアリだとおもいますけど。
『殺し愛』というのは目を引く単語ですね!
とてもキャッチーなタイトルだと思います。
○キャッチコピーについて
とても強烈なキャッチコピーです。
カクヨムにおいては目を引くキャッチコピーが大切なのですが、これは参考になるなと。
○あらすじについて
最低限の世界観の説明を短く、そのあと主人公の立場や能力、行動を分かりやすく提示されています。
キャッチコピーにもあった「選べ。おれと婚約するか、このまま全人類諸共死ぬか」というセリフが非常に印象的に残り、本文へと読者を促すよいあらすじだなと思いました。
あえていうと、少し『長いな』と感じました。
文字数として『長い』のではなく、『長くかんじさせられるな』と。
それが良いかどうかは分かりませんが、あらすじを読むだけで少し『疲れたな』とおもっちゃったのも事実なんですよね。
あらすじの『情報量』がおおいのかもしれません。
○冒頭(1段落目)について
グリフォンの「男」がどういう存在なのか、わずかな行数でハッキリと読者に知らしめています。
冒頭は世界観ではなくキャラクターを描くという創作の基本に忠実です。
しかも、人間を根絶やしにするために生れてきたと確信しているというキャラクター性は読者の印象に分かりやすく残りやすいです。
ただ、あえていうと、「人間という存在を~~この肉体で感じ」となっていますが「人間を肉体で感じる」の意味が取りにくかったのはちょっと気になりました。
総じて、インパクト抜群な一段落目だなと感じました。
○プロローグについて
グリフォン視点で話が続きます。
あらすじを読んだときはアルヴィア主人公だと思ったのでここは意外。
プロローグなので主人公の相手役の視点で主人公を描くのはぜんぜんアリどころか、参考にしたいテクニックですらあります。
『真紅』を『永い間忘れ去ってしまっていた』ということは、かつて『真紅』が印象的な何かを見たことがあるということでしょうか。これが伏線だとしたら上手いなと思います。
○1万文字読んでの感想(全体)
まさに、「これぞファンタジー!」という作品だと思いました。
『ライトノベル』でも、『児童書』でもない、昨今珍しいくらいに王道な『大人向け』ファンタジーです。
作者様の「これが私の好きな世界なんだ」というのがよく分かります。
濃厚本格ファンタジーが好きな人にとって、たまらない作品ではないかと。
その上で、10年殺し合った相手に『婚約』をもとめられるという、意外性あふれるというか、オリジナリティあふれる急展開が素晴らしいです。
あらすじを含め、『つかみはバッチリ!』ですね!
この後2人がどうなってしまうのか、見守りたくなりました。
○1万文字読んでの感想(文章)
濃厚ファンタジーにふさわしい、濃厚な文体だと思います。
日本語としてしっかりととのっているし、感情も適度に乗っており、ファンタジー小説の文章として理想的でしょう。
Web小説としては、少し1文が長いかもと思ったところもありましたが、この作品にはぴったりだと思います。
○最後に
濃厚なファンタジー、特に『異類婚姻譚』が好きな人にはめちゃくちゃオススメの作品です。
是非皆さん読んでみてください。
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