第46話 大人としての自分を受け入れる
「私はまだ、大人になりきれていない」
そんなふうに感じることが多かった。
感情が抑えられないとき、責任を果たせなかったとき、周囲の期待に応えられないとき――「これが大人らしい振る舞いなのだろうか」と自分を責めることがあった。でも、最近になってようやく気づいたことがある。それは、「完璧な大人」なんて存在しないということだ。
大人になるというのは、欠点や不完全さを抱えながらも、自分なりに前に進むことなのだと思う。誰かに頼ることがあってもいいし、失敗して学ぶことがあってもいい。それが「大人」としての自然な姿なのかもしれない。
たとえば、私はこれまで「大人は感情を表に出さないもの」と思い込んでいた。泣いたり怒ったりすると、「子供っぽい」と思われるのではないかと恐れていた。だから、感情を抑え込んで我慢することが多かった。
でも、ある日友人が私にこう言ってくれた。「感情を出せることも、強さの一つだよ」と。その言葉を聞いたとき、私は少しだけ心が軽くなった。感情を抑え込むことが大人らしさではなく、それをどう表現し、どう受け入れるかが大切なのだと感じたのだ。
また、「大人はすべてのことを自分で解決しなければならない」という思い込みも手放すことができた。困ったときには助けを求めること、それも大人としての選択だとわかったからだ。
大人であることを受け入れるのは、決して自分を完璧にすることではない。それは、自分の弱さや失敗も含めて、「これが自分だ」と認めること。そして、その自分でできることを少しずつ積み重ねていくことなのだと思う。
今の私は、以前よりも少しだけ「大人としての自分」を受け入れられるようになった。完璧ではなくてもいい、不器用でもいい。自分なりのペースで進んでいけばいい。それが、自分らしい「大人の姿」だと思えるようになった。
これからも、成長し続ける自分を受け入れていきたい。そして、その中で見つける新しい自分を楽しみにしながら、自分なりの大人の生き方を模索していきたいと思う。
「大人になる」という言葉にプレッシャーを感じている誰かに伝えたい。私たちは、私たちなりのペースで、私たちらしい大人になればいい。それで十分なのだから。
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