第40話 他人と違うことを楽しむ

子供の頃から、私は「周りと違うこと」に敏感だった。友達と同じ服を着ていないことや、流行に疎いこと、自分だけが興味を持っている趣味――そうした「違い」に気づくたび、恥ずかしさや孤独感を抱えていた。


学校や職場、日常生活の中で、「周りと同じでいること」が安心だと感じる瞬間は多い。みんなと同じ話題で盛り上がり、同じルールの中で行動する。それが、周囲から浮かないための最善策のように思えた。


でも、大人になるにつれて、ふと気づいた。「他人と同じであること」よりも、「自分らしくいること」のほうが、心が軽くなるのではないかと。


それを実感したのは、趣味を通じて出会った仲間との時間だった。私の趣味はどちらかというと「地味」で「独特」なものが多い。落語や手作りの小物、昔ながらの喫茶店巡り――それを楽しむことを他人に話すのは、少し勇気が必要だった。


けれど、思い切ってそれを話したとき、予想以上に「面白そう!」「私もやってみたい」と言われたのだ。その瞬間、「自分だけが特別に変わっているわけではないんだ」と感じた。むしろ、自分の好きなことを堂々と楽しむ姿が、他人にとって新鮮で面白いと映ることもあるのだと知った。


他人と違うことを楽しむというのは、自分を肯定する力だと思う。違いを恥ずかしがるのではなく、それを「自分らしさ」として受け入れることで、心が少しずつ自由になっていく。


もちろん、他人と違うことで批判されたり、孤立を感じることもあるだろう。でも、それでも「私はこれが好き」と胸を張れる自分でいたい。


他人と違うことは、必ずしも劣っていることではない。それは、自分だけが持つ個性であり、誰かの価値観や世界を広げるきっかけにもなる。


これからも、他人と違うことを楽しみながら、自分らしさを大切にしていきたい。そして、その違いが新しい出会いや発見を生むものだと信じている。


「違い」は恐れるものではなく、楽しむものだ。私たちはその違いを通じて、自分だけの人生を描いていけるのだから。

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