子供のまま、大人になってしまいました。

第38話 心を許せる居場所の大切さ

「ここにいてもいいんだ」と思える場所があること。それは、私にとって何よりも大切なことだ。

これまでの人生で、私は何度も「自分の居場所がない」と感じる瞬間を経験してきた。学校、職場、家族の中――どこにいても、自分が少し浮いているような感覚に苛まれることがあった。周りと馴染めず、自分だけが取り残されているような気がして、孤独を感じることも多かった。

特に、何か失敗したときや、弱音を吐きたくなったときには、その感覚が強くなる。弱さを見せてしまうと、余計に周りからの目が厳しくなるのではないかと感じ、心を閉ざしてしまうのだ。そして、どこにも「安心していられる場所」がないことが、自分を追い詰めてしまう。

でも、あるとき気づいた。心を許せる居場所は、ただ待っていても見つからない。自分から少しずつ作っていくものなのだと。

そのきっかけは、友人との何気ない会話だった。「最近、こんなことで悩んでいるんだ」と打ち明けたとき、その友人は「わかるよ、その気持ち」と共感してくれた。その言葉を聞いた瞬間、心がふっと軽くなった。

それは特別なことではなかったけれど、その一言で「この人の前では自分を隠さなくていいんだ」と思えた。それ以来、その友人との関係が私にとっての「居場所」の一つになった。

また、一人で過ごす時間も私にとって大切な居場所だ。本を読んだり、散歩をしたり、好きな音楽を聴いたり――誰にも邪魔されず、自分だけのペースで過ごす時間が、心を癒してくれる。その時間があるからこそ、また人と関わるエネルギーを取り戻すことができる。

心を許せる居場所は、人との関係だけでなく、自分自身との向き合い方にもあるのだと思う。自分を否定せず、ありのままの自分を受け入れること。それができる時間や空間が、私にとっての居場所になる。

もちろん、すべての場所で安心していられるわけではない。どこかで傷つくこともあるし、孤独を感じることもある。でも、そんなときに戻れる居場所が一つでもあるだけで、心が救われる気がする。

居場所を作るのは簡単ではない。でも、少しずつ信頼できる人や自分だけの時間を大切にすることで、その居場所を広げていけるのだと思う。

これからも、心を許せる居場所を大切にしながら、自分らしく生きていきたい。そして、その居場所が私の生きる力となり、新しい一歩を踏み出す支えになってくれると信じている。

誰もが、自分の居場所を見つけられる。たとえ今はそれが見えなくても、必ずそこにたどり着けると信じて、一歩ずつ歩んでいきたい。