第21話 子供のように夢中になれるもの
「大人になると、夢中になれるものが減る」
そんな話を聞いたことがある。仕事や家庭、日々の生活に追われて、何かに熱中する余裕がなくなるというのだ。でも、私はその言葉に少しだけ反発したくなる。
大人になった今でも、私は時々、子供のように夢中になることがある。それは何か特別なことではなく、ちょっとした趣味や日常の中で見つける小さな楽しみだ。でも、その瞬間は、周りのことを忘れて没頭してしまう。
たとえば、最近始めた小さな家庭菜園。小さな鉢に種をまき、水をやりながら芽が出るのを待つ時間は、まるで子供の頃の理科の実験のようにワクワクする。最初は何もなかった土の中から緑が顔を出したときの感動は、何度経験しても新鮮だ。
また、図書館で新しい本を見つける瞬間もそうだ。棚に並ぶ何百冊もの本の中から、表紙やタイトルに惹かれた一冊を手に取る。それを家に持ち帰り、ページをめくり始めるときのドキドキ感――それはまさに冒険の始まりだ。
子供の頃、何かに夢中になる時間は、あっという間に過ぎていった。大人になると、「効率」や「成果」が求められることが増えて、その感覚を忘れてしまいがちだ。でも、子供のように夢中になれる時間があると、心が自由になる気がする。
夢中になれるものを見つけることに、年齢は関係ないと思う。それは、小さな趣味でも、日々の何気ない出来事でもいい。重要なのは、それを心から楽しむこと。大人だからといって、「意味のあること」にこだわる必要はないのだ。
夢中になる時間は、私にとって「生きている」と実感できる瞬間だ。誰かに評価されるためでも、何かを達成するためでもない。ただその瞬間を楽しむことで、自分がここにいることを感じられる。
これからも、子供のように夢中になれるものを探し続けたい。そして、それを見つけたら、全力で楽しみたいと思う。
大人になっても、私たちの中には子供の頃のワクワクや好奇心が眠っている。それを呼び起こすことで、日常がもっと豊かになるはずだ。
夢中になる時間――それが私にとって、心のエネルギーを充電する大切な瞬間なのだ。
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