第15話 「大人らしさ」って何だろう?
「大人らしくしなさい」
この言葉を、子供の頃から何度も聞いてきた。でも、その「大人らしさ」って何だろう?いまだに、私にはその正体がわからない。
感情をコントロールすること?冷静に判断すること?責任を持って行動すること?確かに、それらは「大人」に求められる要素かもしれない。でも、私が思う大人らしさは、もっと別のもののような気がしている。
私は自分の感情を素直に表現することが多い。それは、周囲から「子供っぽい」と見られることもあるけれど、感情を押し殺してしまうと、どこかで苦しくなってしまう。だから、泣きたいときには泣き、怒りたいときには怒る――そうすることで、心が楽になるのだ。
でも、社会では「感情を出さないこと」が「大人らしさ」とされることが多い。たとえば、職場で理不尽なことがあっても、黙って耐えることが求められる。家庭でも、親やパートナーとして感情を抑え、冷静であることが求められる。
そんなとき、私は「大人であること」を苦しく感じる。感情を隠して演じる大人でいるよりも、素直な自分のままでいたいと思うのだ。
ある日、友人と話していたとき、その友人が言った言葉が印象的だった。
「大人らしさって、自分と他人を同時に大切にできることじゃないかな」
その言葉を聞いて、私は少しだけ腑に落ちた気がした。大人らしさとは、自分の感情を抑え込むことではなく、自分の気持ちも、相手の気持ちも大切にしながらバランスを取ることなのかもしれない。
たとえば、怒りを感じたとき、その感情を否定せずに自分の中で受け止める。でも、それをただ相手にぶつけるのではなく、冷静に伝える方法を考える。泣きたいときは涙を隠さず、でもそれを無理に相手に共有させない。そんなふうに、自分と他人を同時に大切にすることが、大人らしさにつながるのではないだろうか。
もしそうなら、私が「子供っぽい」と思われている部分も、大人らしさの一部として受け入れられるのかもしれない。大人と子供の境界線を曖昧にしながら、自分らしい形で「大人らしさ」を探していけばいいのだ。
「大人らしさ」って何だろう?その答えは一つではない。大人らしく生きることに悩んでいる人がいたら、ぜひこう伝えたい。
「あなたの大人らしさは、あなた自身が決めていいんだよ」
それが、私の見つけた小さな答えだ。
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