第14話 大人の趣味と子供の感性の狭間

大人になってからの趣味は、「役に立つこと」や「生産的なこと」が求められることが多いように感じる。「どうせやるなら、それを仕事に活かせばいいのに」と言われたり、「何か成果を出すためにやるべきだ」と助言されたりすることもある。


でも、私が心から楽しめる趣味は、そういうものではない。むしろ、「ただ面白そうだからやってみる」という子供のような感性で始めたもののほうが、心に響くことが多い。


たとえば、先日突然始めたジグソーパズル。完成させるまでの道のりには何の実用性もないし、「大人になってやること?」と笑われるかもしれない。でも、ただ無心でピースをはめていく時間は、心が穏やかになり、忙しい日常から解放される感覚があった。


また、近所の公園を散歩していて、小さな虫や花に目を向けて写真を撮ることもある。それは誰かに見せるためでも、SNSに投稿するためでもない。ただ、自分がその瞬間を楽しんでいるだけだ。子供の頃、落ち葉を集めて遊んだときのような純粋な楽しみがそこにはある。


大人になると、「やる意味」を問われることが多い。でも、子供の頃の感性は、意味を求めずに楽しむことを教えてくれる。何かを学ぶためでも、成果を出すためでもなく、「ただ楽しいからやる」――それが本来の趣味の形なのではないかと思う。


もちろん、大人としての趣味も大切だと思う。キャリアやスキルアップにつながるもの、新しい人との出会いを広げるもの――それらは生活を豊かにしてくれる。でも、そこに子供の感性を少しだけ混ぜることで、趣味はもっと自由で楽しいものになるのではないだろうか。


私にとって趣味とは、大人と子供の感性が交わる場所だ。大人としての知識や経験を活かしつつ、子供のような純粋さや遊び心を取り戻すこと。それが私にとっての「心の栄養」になっている。


これからも私は、大人の趣味と子供の感性の狭間で楽しみ続けたいと思う。そのどちらも私の一部であり、どちらも大切にすることで、自分らしい生き方を見つけていける気がするから。


趣味に正解はない。ただ自分が楽しいと思える時間を過ごせること――それが、何よりも大切なことだと思う。

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