第16話 突然の怒りがもたらす孤独
私の中にある怒りは、いつも突然やってくる。何か大きな出来事があったわけでもないのに、心の奥底から沸き上がるような感情が私を襲う。そしてその怒りをどう扱えばいいかわからず、私は孤独を感じることが多い。
たとえば、友人と話しているときの何気ない一言。「それぐらい普通だよ」と言われただけで、自分が否定されたような気持ちになり、胸の中に怒りが渦巻く。でも、その感情をその場で伝えることは難しい。「大人なんだから、感情的になってはいけない」と自分に言い聞かせて、飲み込んでしまうのだ。
しかし、その抑え込んだ怒りは消えてなくなるわけではない。むしろ心の中で膨れ上がり、後から何倍にもなって私を苦しめる。そして、どうしてこんなに怒りを抱えているのか、自分でもわからなくなり、ますます孤独感が増していく。
怒りという感情は、とても扱いにくい。泣くことや笑うことは周囲から受け入れられやすいのに、怒ることは「大人げない」「面倒くさい」と思われることが多い。それを恐れて、私は怒りを外に出さないようにしてきた。でもその結果、自分の中に怒りの澱が溜まっていったような気がする。
怒りを正しく表現することはできないのだろうか。最近、私はその方法を少しずつ模索している。
まず、自分が怒りを感じたとき、その感情を否定しないようにしている。「どうして私はこんなに怒っているんだろう」と自問し、その理由を探るようにしている。相手の言葉や行動が引き金になったとしても、それがなぜ自分の心に刺さったのかを掘り下げると、自分の中の大切な価値観やトラウマに気づくことがある。
また、怒りを直接的に相手にぶつけるのではなく、自分自身と対話する時間を持つようにしている。ノートに感情を書き出したり、静かな場所で深呼吸をしたりすることで、少しずつ怒りが落ち着いていくのを感じる。
そして、一番大切なのは、怒りをただの「負の感情」として扱わないことだと思う。怒りは、私が何かを大切に思っている証拠でもある。だからこそ、その感情を無視せず、自分にとって何が大切なのかを見つめ直すきっかけにしたい。
突然の怒りがもたらす孤独。それは確かに苦しいけれど、その感情と向き合うことで、自分をもっと深く知ることができるのかもしれない。これからも私は、自分の怒りを受け入れ、その奥にある本当の気持ちに目を向けていきたいと思う。
怒りは悪いものではない。それをどう扱うかで、自分を成長させる力にもなるのだと信じている。
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