第12話 子供らしい好奇心の居場所

子供の頃、私は何にでも興味を持つ子だった。道端に咲く小さな花をじっと観察したり、空を飛ぶ鳥の動きに夢中になったり。新しいことを知るたびに、世界が広がっていくような気がして、ワクワクしたものだ。


でも、大人になるにつれて、そんな純粋な好奇心を持ち続けることが難しくなっていった。「それ、子供っぽいよね」と笑われることもあれば、「もっと現実的なことに目を向けなきゃ」と諭されることもあった。それがいつの間にか、好奇心にフタをする癖につながってしまった気がする。


とはいえ、私の中の「子供らしい好奇心」は消えることなく、今でも時々顔を出す。たとえば、ふとしたきっかけで始めた手芸やDIY。最初は「どんな仕組みなんだろう?」と興味を持っただけだったのに、気づけばその奥深さにのめり込んでしまった。


また、博物館や図書館に行くときも同じだ。展示物や本を見ていると、まるで子供の頃に戻ったかのように夢中になる。小さな発見や知らなかったことを知るたびに、心が躍る感覚がある。


子供らしい好奇心は、私にとって「自分らしさ」を取り戻すための大切なツールだと思う。大人の世界では、効率や成果が重視される場面が多いけれど、好奇心はそれとは違う。「役に立つかどうか」ではなく、「面白いから知りたい」「ただやってみたい」という純粋な動機から生まれるものだ。


でも、大人になると、こうした動機を隠してしまうことが多い。特に、他人からの評価を気にすると、「こんなことに興味を持ってるなんて恥ずかしい」と思うこともある。私も、そうやって自分の好奇心を閉じ込めてしまった経験が何度もある。


だから最近は、少しずつ「子供らしい好奇心」を解放するようにしている。自分の興味が向いたものに素直になること。他人の目を気にせず、やりたいことをやってみること。それが私の心を自由にし、生きづらさを和らげてくれるのだと思う。


好奇心の居場所は、誰かが用意してくれるものではない。それは、自分で見つけるものだ。そして、その場所を見つけたとき、私の中の「子供の心」が歓喜する。


これからも、子供らしい好奇心を大切にしていきたい。たとえそれが「役に立たない」と思われることでも、私にとっては大切な時間なのだから。


好奇心に年齢制限はない。どんなに大人になっても、心に芽生えた興味を大切にすることで、日常がもっと豊かになるはずだ。私はそれを信じている。

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