子供のまま、大人になってしまいました。

第9話 人間関係の難しさ

人間関係は、いつも私にとって「難しい」と感じるものだ。誰かとつながりたいという気持ちはあるのに、深く関わるほどに心が疲れてしまう。相手の言葉や態度に一喜一憂し、気を使いすぎて自分を見失うことも多い。

たとえば、友人と話しているとき。「大丈夫だよ」と軽く言われただけなのに、その言葉の裏に「本当は嫌がられているのでは？」と深読みしてしまう。相手の何気ない態度に、過剰に反応してしまうのだ。

こうした自分の過敏さに気づくたび、「もっと鈍感になりたい」と思う。細かいことを気にせず、軽やかに人と接することができたら、どれだけ楽だろう。でも、私にはそれができない。

相手の表情や声のトーン、微妙な間――そうしたものが気になってしまうのは、過去の経験が関係しているのかもしれない。学生時代、いじめられたことがあった私は、人との距離感がわからず、相手の一挙一動に怯えていた。それ以来、人間関係において「相手の反応」を気にする癖がついてしまったようだ。

でも、そんな私にも「安心できる人間関係」がある。それは、お互いに無理をせず、静かに寄り添えるような関係だ。たとえば、何も話さなくても一緒にいられる友人や、自分の感情を素直に表現できる相手。そうした人たちと過ごす時間は、私にとって何よりの癒しだ。

人間関係が難しいと感じる理由は、おそらく「自分の本心を隠してしまうこと」にあるのだと思う。相手に合わせすぎて、自分の感情や欲求を後回しにしてしまうから、心が疲れてしまうのだ。

だから最近は、少しずつ自分の気持ちを伝える練習をしている。「それは違うと思う」「今はちょっと疲れている」――こうした言葉を勇気を出して口にすることで、心が軽くなることがある。そして、そうしたやりとりを重ねることで、相手との関係も少しずつ変わっていく気がする。

人間関係は難しい。でも、それを「難しい」と感じる自分を否定する必要はない。むしろ、それだけ相手を大切に思っている証拠なのかもしれないから。

少しずつ、無理のない形で、自分に合った人間関係を築いていきたい。相手を思いやりながらも、自分自身を大切にする――そんなバランスを見つけることが、私のこれからの課題だと思う。

人間関係の難しさを感じるすべての人へ。私たちの繊細さや不器用さも、大切な個性の一部だということを忘れないでほしい。