第46話 ネロの気持ち②
だが、その鎧に弾かれる。
「ギュイイイイイ!」
襲われた百足は苛立ったように、鳴き声を上げる。
その顎からは鋭い毒牙が見えた。
その長い胴体が、リオルを襲う。
リオルに何をするのよ!
私は自分の影から、影の鎖を放つ。
その鎖が百足を拘束する。
「ネロ、ナイス!」
リオルは尻尾を生み出すと、その尻尾を振るう。
その一撃を受けて、百足は大きく吹き飛んだ。
その鎧のような胴体に小さくヒビが入る。
「硬いな……」
けど、そこまで効いていないみたい。
「ギュイイイイイイイイイイイイイ!」
先ほどよりも大きな悲鳴を上げた百足は突然口から熱光線を放ってきた。
リオル、危ない!
その細い熱光線はリオルのお腹を貫く。
リオルの鱗はとても硬い。それを貫く程の威力なの?
「ぐっ!」
リオルがその痛みで、膝をついた。
そこに追い打ちをかけるように、百足の胴体がリオルに伸びる。
まずいわ!
私は影で複数の剣を生み出すと、関節を狙って放つ。
その剣は見事に、関節の隙間から肉に刺さった。
百足の動きが鈍る。
その隙に、私はその爪で百足の目を思い切りひっかく。
「ギュイイイイ⁉」
それを受け、百足の狙いが完全に私に変わる。
百足の長い胴体が私を囲むように巻かれる。
しまった、距離を詰め過ぎたわ。
まずいかも。締め付けられたら、逃げられない。
けど、リオルは守れた。
そして、百足はその体を締める。
やられる!
襲われる直前、私は気付けば自らの影の中に沈んでいた。
これは……お母さんが使っていた影潜り?
影から地上を覗くと、突如消えた私に百足が混乱していることが分かる。
この力は凄く力を消耗するのが、分かる。
あまり長時間は厳しいかも。
影潜りは……私以外も潜れるはず。
私は、百足の体も影に沈める。
それにより下半身が突如影に沈み、混乱する百足。
その隙を狙い、私は影から出ると、奴の頭部を横から思い切り噛みついた。
隙は作ったわよ、リオル。
リオルは既に跳んでいた。
「ありがとう、ネロ」
リオルは渾身の尻尾の振り下ろしを百足の頭部に叩き込んだ。
その一撃は確かに、百足を仕留めた。
頭部を失った百足の体が地面に倒れる。
「ぐっ……助かったよ、ネロ」
リオルはお腹を押さえながら笑う。
私はその傷を舐めた。
「がうっ」
「いつもありがとな」
リオルが私を撫でる。
リオルは強くなったけど、やっぱり無茶もするから私が付いていないとね。
そのためにも強くならないと。
隣でいつまでも戦うために。
一人で戦わせないために。
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